どうやって救護する?「傷病鳥獣」のリハビリテーター講習


先日、以前から個人的に関心のあった、怪我を負った野生動物「傷病鳥獣」の『リハビリテーター』の講習を受講しました。

これは、北海道の酪農学園大学で2日間にわたり、野生動物リハビリテーター協会の主催によって行なわれたもので、特に怪我をした野鳥の野生復帰をお手伝いすることを目的としたものです。

1日目は、まず鳥類の体の構造や生態、またヒグマや大型猛禽類などの、北海道の野生動物を取り巻く環境や現状について講義をしていただきました。

会場となった酪農学園大学

この中では、油汚染の被害を受けた海鳥を、実際に救護する様子を映した動画を見る機会がありました。

動画では、保護されたウミツバメ類(希少種)の体から、中性洗剤の泡を使って、少しずつ油を落とす作業が撮影されており、鳥にとっても人間にとっても、本当に負担の大きな、大変なものだということがよく分かりました。

2日目の実習では、野鳥の遺体を用い、獣医師に運ぶまでの応急措置として、怪我をした翼の固定法などを学びました。

また、救護時の大事な要素である「保温」と「脱水症状を防ぐ処置」についても、実際に生きた鳥(カモ)を用いて、水分を補給させる「補液」の方法を、獣医師の先生に教えていただきました。

トビの遺体を用いた実習。

こうした対処は、野鳥の生命力を左右するカギとなり、後々自然に復帰させる上で、大きな役割を果たすそうです。

傷病鳥獣の救護は、人の側が怪我を負ったり、人獣共通の感染症などの危険があるなど、さまざまな困難が伴います。

動物を助けたい、と願う方はたくさんいらっしゃると思いますが、実際の救護の現場で専門的な知識や技術が必要とされることは、あまり知られていないかもしれません。

自然保護や野生動物救護の最前線で、どのような苦労や取り組みがあるのか。

その大切さを学んだ2日間になりました(企画調整室・谷野)

関連情報

フクロウの遺体を用いた実習。野生動物の中でも、特に身近に目にする機会の多い動物と言えば「鳥類」です。鳥種によって尾脂腺の大きさが違うことなども観察しました。

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