サンゴの大規模白化現象に関する「緊急宣言」


こんにちは、石垣島より「しらほサンゴ村」の鈴木倫太郎です。 4月23日に、沖縄科学技術大学院大学で開かれた「サンゴ大規模白化緊急対策会議」に参加してきました。

これは、去年の夏に発生した大規模なサンゴの白化現象を受けて環境省が開催したもので、有識者や行政、各機関、団体の関係者が集まり、最新の知見の共有と、意見交換が行なわれました。

私たちもサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」での白化現象の調査や、地元事業者と行なった白化情報発信プロジエクトについて報告するとともに、今後サンゴ礁を守るための認定制度の取組みについて発表しました。

昨年夏の白保サンゴ礁での白化の様子。白化現象が起きても、サンゴが死ぬとは限りません。赤土など他のストレスが少なければ、サンゴは白化しても回復する可能が高くなります。

さまざまな報告や意見が出たこの会議では、成果として「サンゴの大規模白化に関する緊急宣言」が取りまとめられました。

緊急宣言で、最も強く対策が求められているのは、地球規模の気候変動(温暖化)です。

このため宣言では、白化をこれ以上拡大させないために、「パリ協定」の目標達成を含む温暖化の進行を止める国レベルでの取り組みが不可欠であること。

サンゴ礁はウミガメや魚など多くの生きものの住処です。

そして回復のためには、赤土の流出防止など、サンゴへのストレスを低減させる、地域における取り組みが重要であることが明記されました。

さらに宣言には、海洋環境の調査やサンゴの回復といった「緊急性の高い取り組み」や、特に2020年までにサンゴが生育する重要な地域での取り組み強化の必要性なども盛り込まれています。

オーストラリアのグレートバリアリーフでは今年も、サンゴの白化現象が起きていることが報告されています。

石垣島や宮古島では、地域が主体となって白化現象の勉強会や研究発表も行なわれています。

私たちも、海水温の状況を注視しつつ、昨夏の白化現象から八重山地域のサンゴ礁が回復することをめざす活動を続けていきたいと思います。

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海水温の状況をモニタリングしています。

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自然保護室 国内グループ所属
鈴木 倫太郎

南西諸島のサンゴ礁など海域をフィールドを担当しています。

石垣島・白保の海に初めて出会ってから20余年。それ以来、研究者として、仕事として、サンゴにかかわり続けてきました。サンゴを愛し、サンゴから愛されそびれた男。サンゴ礁の魅力を多くの人に伝えていきたいと思います。

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