【動画あり】未来を担う子どもたちと考える「森」のこと


こんにちは。森林グループの相馬です。
先日ボルネオ島北カリマンタンの活動地、ロン・ウムン村に行ってきました。

村の風景。村の周囲には森が残されており、地域の人が森とともに生きてきた歴史を感じさせる。

ボルネオ島の最奥に位置し、鬱蒼とした森に包まれたこの小さな村は、標高が高いので気候は涼しく、風景は日本の田園風景そっくり。

今回の訪問の目的は、ロン・ウムン村の小・中学校で実施している、持続可能な未来の担い手を育むための活動の視察です。ESD(持続可能な開発のための教育)と呼ばれます。

国立公園に隣接するロン・ウムン村では、地域の人々の多くは稲作を行いながら、薪や魚、果物などの食べ物を熱帯林から得て暮らしています。

すごろくを使った環境のクイズにチャレンジする子どもたち。

村にとって森はとても大切な場所。一方、北カリマンタンの森は、ボルネオゾウと呼ばれる希少なゾウやさまざまな野生生物の生息地としても重要性の高い場所です。

ESD活動の狙いは、そんな大切な森の生きものや植物の数が減りすぎないよう、地域の子どもと大人が一緒に村の未来について考え、アクションにつなげていくこと。

ボルネオゾウ

今回訪問した小学校と中学校では、村で展開するESD活動について、児童・生徒、先生、そして地域の方々が熱い議論を交わしていました。

学校菜園で自然農法を実践することや、校内のゴミのリサイクルなどの活動を次々に提案する皆さんの姿は真剣そのもの。先生方の多くはロン・ウムン村の出身だそうです。

村の未来を良くしたい、という思いからESDにも自分ゴトとして取り組んでいるのだと感じました。

教員研修を受けた後、地域の環境課題についてプレゼンをする先生たち。いずれは先生たちが、子供たちに同じ授業をすることに。

ESDの活動が地域環境の改善に結び付くには、時間がかかるかもしれません。

でも、持続可能な村の未来に思いを馳せる子どもが一人でも増えることで、人間と自然がともに生きていける未来に近づくはず。そう信じて、これからも活動を続けていきます。

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自然保護室(森林 グループ長)
相馬 真紀子

カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて地理・環境学の学士号を取得後、東京大学大学院にて国際環境協力を学び、修士号取得。
13年間にわたり政府開発援助の農業・林業政策の専門家としてコンサルティング会社に勤務。東南アジアやアフリカなど世界各地の農林業の現場、とくに山間地での傾斜地農業や有機農業、伝統農法について経験を積む。フィリピンでは有機農業生産・流通・販売組織の設立を手掛けた。現場での経験をとおし、NGOの活躍・機動力を何度も目の当たりにして衝撃を受け、転職を決意。2018年にWWFに入局。

子どもの頃は毎日のように海や山や川で遊び、ガールスカウトに入って毎年キャンプに行っていました。大人になっても、気づけば自然とかかわる仕事を選んでいました。趣味はビールの飲み比べと野菜の食べ比べで、特技はどんな国で何を出されても美味しく食べられることです。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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