50年先の未来にのこしたい50種の野生動物
2024/10/22
絶滅のおそれのある野生動物50種を一覧で紹介します。
気候変動、森林破壊、海洋問題、淡水の危機など、絶滅の危機にある理由や、野生生物の保全のために必要な取り組みについて、わかりやすく解説します。
【2024.8.22】更新
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© Debra Garside
ホッキョクグマ
- 分類:
- 食肉目クマ科クマ属
- 学名:
- Ursus maritimus
- 英名:
- Polar Bear
- 分布:
- 北極圏
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024)
北極海と、その周辺部に分布するホッキョクグマは、現存する陸生肉食獣では最大の種で、オスの体長は最大2.5m、体重は600kgにもなります。
1年の半分以上を海氷の上で過ごし、この氷上で獲るアザラシを主食としています。
夏、海氷が消える季節になると、沿岸の陸地に移りますが、この数カ月間はほぼ獲物なしで過ごすため、獲物の獲れる時期にどれだけ栄養を蓄えられるかが、ホッキョクグマの生存、とりわけ繁殖の成功を大きく左右します。ホッキョクグマは1950年代に狩猟による減少が懸念されましたが、1976年にソ連(現在のロシア)、アメリカ、カナダなど5つの生息国が協力して、東西冷戦の壁を越えた画期的な国際保護協定を締結。その結果、1990年代には推定で27,000頭まで回復しました。
しかし、2000年以降、地球温暖化によって北極圏で海氷の減少が認められるようになると、再び絶滅が心配されるようになりました。
アザラシなどの獲物を氷上で獲りにくくなることに加え、海氷のない夏場の絶食期間が長くなることで、栄養失調になるホッキョクグマが増えたためです。
またこのことは、仔グマの誕生やその生存にも、深刻な危機をもたらしています。北極圏の温暖化は、ホッキョクグマに深刻な栄養失調をもたらすのみならず、これまでは寒さゆえに生じてこなかった、病気や寄生虫の発生といった問題の原因にもなります。
また、北極圏での石油や鉱山開発、さらに船舶から流出する油などの汚染も、脅威となります。
世界の国々が協力して、温室効果ガスの排出を止め、どの国の領海でもない北極圏の自然を守ること。
それが、ホッキョクグマを保全する上で、何よりも重要な欠かせないことなのです。 -
© Shutterstock / rickyd / WWF
コアラ
- 分類:
- カンガルー目コアラ科コアラ属
- 学名:
- Phascolarctos cinereus
- 英名:
- Koala
- 分布:
- オーストラリア東部および南東部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024)
コアラは、カンガルーと同じく、母親がお腹に持つ袋状の育児嚢で仔を育てる「有袋類」と呼ばれる哺乳類の一種です。
生息地はオーストラリアの森林地帯で、行動は単独、樹上での生活を基本とし、ほぼユーカリの木の葉のみを食物とする特殊な食性を持っています。
このユーカリの葉には毒素が含まれていますが、コアラは特殊な盲腸でこの毒を分解することができます。また、必要な水分もユーカリの葉から摂取しているため、普段は水を飲むこともありません。コアラは1930年頃まで、毛皮を取るため捕獲されていましたが、絶滅の危機が指摘されるようになったのは、21世紀に入ってからでした。
コアラにとっての脅威は、森の伐採や分断、離れた木に移動するため仕方なく木から降りたところを襲ってくるイヌやネコなどの外来生物、そして交通事故など。
しかし、近年特に深刻化しているのが、1990年代以降、オーストラリアを襲うようになった、気候変動(地球温暖化)による異常気象です。
これがもたらしたと考えられる干ばつは、ユーカリの森を枯死させる一方、発生した森林火災の鎮火を阻み、その被害を劇的に拡大させるようになりました。
必要な水分を葉から採れなくなったコアラが、地上に降りて水を飲んだり、衰弱して命を落とす例も増えています。2019年には、コアラの主要な分布域で、大規模な森林火災が発生。2020年5月中旬までに推定で17万平方キロが焼失しました。
その結果、多くのコアラが被災して命を落としたり、火傷などの傷を負うことになりました。
助かったコアラも、もともと生息していた森を失い、将来的な絶滅の危機の高まりが懸念されています。
現在のコアラの推定個体数は10万頭から50万頭。しかし、異常気象という大きな脅威の前にあっては、その数も決して十分とは言えません。
森の回復や傷病を負った野生動物の救護も重要ですが、コアラが野生で生きていく上では、気候変動の脅威をくい止めることが、絶対に欠かせないのです。 -
© Muhammad Osama / WWF-Pakistan
ユキヒョウ
- 分類:
- 食肉目ネコ科ヒョウ属
- 学名:
- Panthera uncia
- 英名:
- Snow Leopard
- 分布:
- ヒマラヤおよび中央アジアの高山帯
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
ユキヒョウはアジアの寒冷かつ険峻な山岳地帯に分布する、最も高地に適応したネコ科の野生動物です。崖や岩場、峡谷といった生息環境に適した、頑丈な四肢と跳躍力、バランスを取る役目を果たす1メートルもの尾を持ち、季節や雪の深さに応じて移動しながらくらしています。獲物は、マーモットのような小動物から、野生のヤギやヒツジであるマーコールやアルガリまで幅広く、自分の3倍も重い、大型の獲物を仕留めることもあります。
ユキヒョウの個体数は2,710~3,386頭(成獣のみ)と推定されていますが、もともと人の立ち入り難い、厳しい環境に生息しているため、正確な数字は分かっていません。それでも、高価な毛皮を狙う密猟や密輸は今も続いているほか、家畜の放牧地が広がったことで、獲物の草食動物が減少したり、ユキヒョウが家畜を襲い、害獣として殺される問題が生じています。生息国の経済発展に伴い、高地にまで及ぶようになった道路などの開発も、大きな脅威です。
長らく謎に包まれていた、野生のユキヒョウの姿がヒマラヤで初めてカメラに収められたのは、1970年代のことでした。WWFも1982年、この過酷な自然の中での調査と保護活動を開始。現在もユキヒョウの重要な生息域の一つである、ヒマラヤのアンナプルナとラングバレーの保護区設立に大きく貢献しました。しかし現在は、これまでのような、保護区の設立や、密猟を防ぐパトロールを支援する活動だけでは、ユキヒョウを守ることが難しくなっています。これからは、世界の各地で排出される温室効果ガスが、こうした野生生物の未来に、深くかかわっていることを、もっと意識していく必要があります。
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© Fritz Pölking / WWF
ジャイアントパンダ
- 分類:
- 食肉目クマ科ジャイアントパンダ属
- 学名:
- Ailuropoda melanoleuca
- 英名:
- Giant Panda
- 分布:
- 中国四川省、陝西省の山地林
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
食肉目クマ科の動物の一種ですが、99%の食物を数種のタケだけに頼っている、草食の動物です。硬いタケをかみ砕き、すりつぶすことのできる、幅広い大きな臼歯や、前肢にタケやササの葉をはさむことのできる指状の突起「第六の指」を持ちます。生息域は、中国の陝西省、四川省のごく限られた山地の森のみで、しかもその多くは、細かく分断されています。近年は盛んに行なわれている保護活動の結果、個体数が増加傾向にあるとみられていますが、それでもその数は、最大1,000頭ほど(成獣のみの数)。絶滅の危機は今なお続いています。
長年、開発による山林の消失は、野生のジャイアントパンダを脅かす原因とされてきましたが、近年は地球温暖化による生息環境への影響が心配されています。パンダは、もともとタケの群生する、険しい山地の森でしか生きられないため、その環境が失われたり、変化すると、一気に絶滅の危機が高くなるのです。実際、気温や気候の変化による影響を受け、生育や発芽ができなくなるタケが出てくる可能性も指摘されており、これが大規模な竹林の減少や消滅につながるおそれがあります。そうなれば、野生のパンダは生きるすべを失い、絶滅に追いこまれることになります。
ジャイアントパンダの場合、生きる上で欠かせない竹林の代わりとなる生息域がありません。地球温暖化がもたらす、その限られた山地の環境変化は、パンダにとって深刻な脅威となります。これは、特殊な食性や、限られた生息域を持つ、他の野生動物においても同様です。保全のためには、まず温暖化を止めること。そして、生息地の森を守り、分断された野生のパンダの分布域を「緑の回廊(コリドー)」でつなぐことで、孤立した個体群が移動できる環境を整え、繁殖確率を上げるなど、地球温暖化による影響を、極力緩和する活動に取り組む必要があります。
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© Martin Harvey / WWF
ウミイグアナ
- 分類:
- 有隣目イグアナ科ウミイグアナ属
- 学名:
- Amblyrhynchus cristatus
- 英名:
- Marine Iguana
- 分布:
- 南米ガラパゴス諸島
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
ウミイグアナは海で採食する唯一のトカゲとして知られています。生息しているのは、進化論の島として知られる、南米エクアドルのガラパゴス諸島。この島々の沿岸部をすみかとし、周辺の浅海や干潟などの潮間帯で、海藻を食べて暮らしています。普段はそれほど深く潜りませんが、30メートルもの深さまで潜ることもあります。長い尾を除いた体長は、30~50㎝になり、生息する島によって、大きさや身体の形状が異なることが知られています。 巣は海岸や内陸の砂地に穴を掘ってつくり、通常2~3個の卵を産みます。
ウミイグアナは、3種ほどの限られた海藻しか食べませんが、地球温暖化(気候変動)による「エルニーニョ現象」が発生すると、深刻な食物不足に陥り、多くの個体が餓死します。エルニーニョ現象によって、海水の表面温度が上がると、海藻の養分となる豊富な無機物を含んだ、海底からの冷たい湧昇流(上向きの海流)が抑えつけられ、食物の海藻が減少するためです。過去に起きたエルニーニョ現象では、生息域によっては最大で個体の9割が死んだ例も報告されており、今後、気候変動の深刻化によって、エルニーニョ現象の発生頻度が高まると、このウミイグアナの危機はより深刻になると予想されています。
人為的に引き起こされている気候変動のような、現地の島々での保護活動だけでは解決できない問題については、ガラパゴスのような貴重な自然に及ぶ気候変動の影響を、世界の国々が正しく理解し、厳しい温室効果ガスの排出削減を実現しなくてはなりません。また、こうした気候変動が、ウミイグアナに及ぼす影響を極力抑えるためにも、生息地の沿岸や海域で、卵や幼体を襲うネコやネズミなどの外来生物の管理の徹底や、プラスチックや船からの油による海洋汚染を防除する取り組みを、普段から実施することが重要です。
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© Wim van Passel / WWF
トナカイ(カリブー)
- 分類:
- 鯨偶蹄目シカ科トナカイ属
- 学名:
- Rangifer tarandus
- 英名:
- Reindeer, Caribou
- 分布:
- 北米およびアジア、ヨーロッパ北部(北緯50~81度)、グリーンランド、北極圏の島々など
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
北極圏とその周辺に生息するトナカイは、シカ類の中で最北に分布する種であり、唯一メスにも角があること、また大群で大移動をすることなど、特異な点をいくつも持つ1属1種の動物です。山地や森林にも生息しますが、全体の7割近くはツンドラと呼ばれる極北の原野をすみかとします。季節に応じ、食物となる地衣類などの植物を求めて移動を行なうのは、このツンドラで生きるトナカイの個体群です。
地球温暖化による結氷や降雪の変化は、トナカイにとって致命的な打撃となっています。トナカイはシカ類では珍しく、春先に一斉に出産しますが、気候が変化すると、植物の生育する時期と子育ての時期がずれ、仔を無事に育てられなくなってしまいます。また、気候変動は、時にトナカイを死に至らしめるほどの天敵である蚊の増加と、この虫が媒介する病気の拡散をもたらしていると指摘されています。さらに、石油パイプラインなどの設置をはじめとしたさまざまな開発も移動ルートを遮断し、影響を及ぼしています。
トナカイは2016年に初めて、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危機種として名を連ねることになりました。過去20~30年間での急減が明らかになったためです。往時480万頭とされた個体数は、2015年の推定で289万頭まで減少しました。数は今も多くいるように見えますが、気候変動によって生息環境の変化がさらに進めば、さらに一気に減少してしまう可能性があります。トナカイを守るためには、開発などの問題を解決しながら、気候変動を止めるための取り組みを、世界が一致して行なっていく必要があります。
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© Martin Harvey / WWF
セイウチ
- 分類:
- 食肉目セイウチ科セイウチ属
- 学名:
- Odobenus rosmarus
- 英名:
- Walrus
- 分布:
- 北極圏~亜北極圏の比較的浅い大陸棚
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
北極圏から亜北極圏の海域に分布する、大型の海生哺乳類です。オスは全長3.6m、体重は最大で1.5トンにもなり、オスとメス両方に見られる巨大な牙は、大きなものでは一本で5kgもの重さになります。大陸棚のような比較的に浅い海や、海岸部に生息し、水中で採食しますが、長時間海中にとどまって潜ることは稀。海底で口の周りに生えた敏感なひげを使い、主食の二枚貝、エビやカニなどの甲殻類などを食べています。数頭から多い時には1,000頭を超える群をつくりますが、こうした群が見られる場所は、いずれも食物となる小動物が多く生息する海域や、それらを探しやすい場所に重なっています。
古くから肉や脂を求めて狩猟の対象とされてきたセイウチは、地域的には減少が報告されてきましたが、種全体としては絶滅の危機はないとされていました。しかし、2016年に絶滅危機種のリストに「VU:危急種」として掲載。原因は、地球温暖化(気候変動)により、北極圏やその周辺で、海氷の減少が進んでいるためです。セイウチは繁殖や休息、また採食場所への足掛かりとして、海岸だけでなく、海に浮かんだ海氷も多く利用します。そのため、海氷の減少による強い影響を受けているのです。主要な生息海域である、ベーリング海やチュクチ海では、2000年代の半ばから後半までに最大80%も海氷が消滅するという予測もあります。こうしたことから、今後さらに減少すると警告されています。
セイウチは世界に10万頭あまりが今も生き残っていると推定されていますが、繁殖力は弱く、3年に1回、仔を1頭産むのみで、一度大幅に減少すると、回復が難しい動物です。北極圏は地球上で最も温暖化の影響を強く受ける環境の一つとされていますが、そうした場所に生息するセイウチなどを、絶滅や減少から救うためには、何をおいてもまず地球温暖化を止めねばなりません。同時に、温暖化による影響を少しでも緩和するために、生息海域での油田開発や、違法な捕獲の取り締まりなど、減少につながる他の要因についても、しっかりと対応していくことが重要です。
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© Tom Arnbom / WWF-Sweden
アカアシミツユビカモメ
- 分類:
- チドリ目カモメ科ミツユビカモメ属
- 学名:
- Rissa brevirostris
- 英名:
- Red-legged Kittiwake
- 分布:
- 北極圏~亜北極圏の比較的浅い大陸棚
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
太平洋の北、ベーリング海周辺に生息する、小型のカモメの一種です。洋上を広く飛び回り、海の表層でタラなどの幼魚やイカなどを捕食。日本でも稀な冬鳥として飛来が確認されたことがあります。個体数は推定で10万~50万羽とされており、生息域はベーリング海全域に及びますが、現在までに知られている繁殖地は、わずかに13カ所。離島の300mにもなる崖などに集団で営巣しますが、過去にはこうした島々で、大規模な減少が起きた結果、現在も絶滅の危機が心配されています。
アカアシミツユビカモメの生息域は、南北の緯度10度以内の海域に限られています。また、繁殖期の食物と栄養を、ほぼハダカイワシという特定の魚だけに頼っているため、地球温暖化(気候変動)により、こうした海域の海水温が変化すると、その影響を強く受けることが心配されています。実際、温暖化によって促進される海氷の減少などは、寒い海の自然のサイクルを狂わせ、生息する主な生物の資源量を変化させたり、その行動パターンや、繁殖の時期などをも、変えてしまう可能性があるのです。
アカアシミツユビカモメは、20世紀の後半から、過剰な漁業などによる影響を受け、また、主要な繁殖地での営巣数が激減したことなどを受けて、その個体数を減らしてきました。現在は、繁殖地が手厚い保護下に置かれ、漁業との競合や、ネズミなどの外来生物によるヒナや卵への脅威も軽減されていますが、地球温暖化はそうした脅威とは全く別の、新たな、そして大規模な問題です。アカアシミツユビカモメの危機は、今後生じると予想されている、海洋環境の変化に基づき、指摘されているものですが、この変化は、同じ海域に生息し、その自然の豊かさに頼って生きる、他の多くの野生動物にとっても、同様に深刻な脅威を及ぼすものとなります。
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© Tom Arnbom / WWF-Sweden
アオウミガメ
- 分類:
- カメ目ウミガメ科アオウミガメ属
- 学名:
- Chelonia mydas
- 英名:
- Chelonia mydas
- 分布:
- 太平洋、大西洋、インド洋、地中海
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
世界の熱帯から亜熱帯にかけての海域に広く分布するウミガメの一種です。ウミガメ類の中では珍しい、ほぼ完全な草食性で、海中に群生するアマモやウミヒルモなどの海草、さらに藻類も食べています。産卵は何回かに分けて、海岸の砂浜で行なわれ、一度に80~150個ほどの卵を産みます。メスはこの産卵の折に上陸しますが、オスは卵から産まれて海へと旅立った後は、基本的に上陸することはありません。アオウミガメの姿は、140か国以上の沿岸域で確認されており、産卵のために上陸する国も80カ国以上あるといわれています。
アオウミガメは世界の海に広く分布するにも関わらず、1980年代から絶滅の危機が指摘されてきました。主な原因は、食用や商用にするための卵の乱獲、産卵場所である砂浜や、採食場所である海草藻場の開発、海洋汚染、そして漁網に誤ってかかり命を落とす混獲などです。さらに、近年は地球温暖化の深刻な影響が指摘されるようになりました。ウミガメ類は生み落とされた卵を取り巻く砂の温度が、約29度(摂氏)よりも低ければオスが生まれやすく、高ければメスが生まれやすいとされています。このため、温暖化によって温度が上昇すると、オスとメスの性比が偏ってしまい、継続的な繁殖が難しくなってしまうのです。
地域によっては、個体数が安定しているところもありますが、多くの場所では混獲や産卵場所の開発といった問題が今も続いています。今では法律でウミガメを守る国も増えてきましたが、それが守られているとは限らず、脅威の原因を取り除く取り組みはこれからも続けていく必要があります。それに加えて、地球規模で起きている温暖化についても、その影響を抑えるための取り組みを、より促進してゆかねばなりません。このまま温暖化が進めば、アオウミガメはメスばかりとなり、子孫を残すことができなくなるでしょう。
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© Jürgen Freund / WWF
シロナガスクジラ
- 分類:
- 鯨偶蹄目ナガスクジラ科ナガスクジラ属
- 学名:
- Balaenoptera musculus
- 英名:
- Blue Whale
- 分布:
- 地中海、オホーツク海、ベーリング海などを除くすべての海域
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
最大の個体では全長30m以上、体重190トンにもなるシロナガスクジラは、現存する野生動物では最大の種です。北極から熱帯、南極までの、一部の海域を除くすべての海域を生息域として、季節に応じて大きく移動しながらくらしています。主食は、オキアミなどのプランクトンで、最長1mにもなる330枚もあるくじらひげを使い、海水から漉しとるようにして食べます。
シロナガスクジラは、1860年代から約100年間続いた近代的な商業捕鯨により、大きく数を減らしました。1926年に14万頭以上といわれた個体数も、最近の推定では5,000~15,000頭。現在は捕鯨による直接的な減少は起きていませんが、過去の減少からの回復は今も十分ではありません。また他にも、船のスクリューで傷を負う事故や、混獲、有害化学物質などの影響も指摘されています。さらに、地球温暖化の主因である二酸化炭素(CO2)が増加し、それが大量に海に溶け込むことで生じる「海水の酸性化」も、脅威として懸念されるようになりました。
海洋の酸性化と同じく、大気中のCO2の濃度の上昇によって深刻化する地球温暖化は、海流も変化させてしまうため、その影響も懸念されています。特に、海面付近の水温が高くなり、それが停滞してしまうと、プランクトンの発生に欠かせない豊富な無機物を含んだ海底からの冷たい湧昇流が阻まれ、海域全体の生産性が大きく損なわれることになります。そのようなことになれば、シロナガスクジラは不足する食物を補うため、採食のために100キロ単位でより広範な海域を泳ぎ回ることになり、体力の浪費や繁殖機会の低減にさらされるでしょう。
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© Alain Compost / WWF
スマトラサイ
- 分類:
- 奇蹄目サイ科スマトラサイ属
- 学名:
- Dicerorhinus sumatrensis
- 英名:
- Sumatran Rhinoceros
- 分布:
- スマトラ島、ボルネオ島の熱帯雨林
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
スマトラサイは世界に5種が現存するサイの1種で、現在最も絶滅の危機が高い大型哺乳動物の一種でもあります。現在はスマトラ島とボルネオ島の限られた地域に、推定で30頭ほどが生き残っていると考えられています。
最大の脅威は森林破壊で、サイの角を狙った密猟も絶滅危機を引き起こしています。
スマトラサイの保護活動は国際的な協力のもと進行中ですが、密猟と森林破壊が依然として大きな課題です。
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© Adam Mallon
スマトラオランウータン
- 分類:
- 霊長目ヒト科オランウータン属
- 学名:
- Pongo abelii
- 英名:
- Sumatran Orangutan
- 分布:
- インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
スマトラオランウータンは、インドネシアのスマトラ島にのみ分布する大型類人猿で、主に樹上生活を送ります。
熱帯林の伐採やアブラヤシ農園の拡大による生息地の消失が、主な絶滅危機の原因です。
スマトラオランウータンの保護には、熱帯林の保護と持続可能な資源の利用が不可欠です。
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© Alain Compost / WWF
ボルネオウンピョウ
- 分類:
- 食肉目ネコ科ウンピョウ属
- 学名:
- Neofelis diardi
- 英名:
- Sunda Clouded Leopard
- 分布:
- ボルネオ島、スマトラ島の熱帯林
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
ボルネオウンピョウは、スマトラ島とボルネオ島の熱帯林に分布する中型のネコ科動物です。
毛皮目的の密猟と、生息地である森の消失が最大の脅威です。
保護には、現地の森林管理と持続可能な農業生産が必要です。
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© WWF / Martina Lippuner
アカハラキツネザル
- 分類:
- 霊長目キツネザル科ユーレムール属
- 学名:
- Eulemur rubriventer
- 英名:
- Red-bellied Lemur
- 分布:
- マダガスカル東部~北部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
アカハラキツネザルは、マダガスカルに生息する小型霊長類で、果実を主食とします。
農地開発や違法伐採による森林破壊と、捕獲が脅威となっています。
マダガスカルの森林保護と、持続可能な資源管理が必要です。
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© David Lawson / WWF-UK
ジャガー
- 分類:
- 食肉目ネコ科ヒョウ属
- 学名:
- Panthera onca
- 英名:
- Jaguar
- 分布:
- 中米~南米大陸中部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- NT(2024年)
ジャガーは、アメリカ大陸に生息するネコ科最大の野生動物です。
農地開発や密猟が、ジャガーの個体数減少の原因です。
保護区の拡大と森林破壊を防ぐ取り組みが重要です。
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© WWF-Brazil / Adriano Gambarini
ムリキ(ウーリークモザル)
- 分類:
- 霊長目オマキザル科ウーリークモザル属
- 学名:
- Brachyteles arachnoides
- 英名:
- Muriqui, Woolly Spider Monkey
- 分布:
- ブラジル(大西洋沿岸林)
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
ムリキはブラジルの大西洋沿岸林に生息する霊長類最大の種で、主に樹上生活を送ります。
森林伐採や分断、密猟がムリキの主な絶滅危機の原因です。
ムリキを保護するには、森林保護と持続可能な開発が重要です。
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© Anton Vorauer / WWF
バンテン(ジャワスイギュウ)
- 分類:
- 鯨偶蹄目ウシ科ウシ属
- 学名:
- Bos javanicus
- 英名:
- Banteng
- 分布:
- インドシナ半島、ボルネオ島、ジャワ島
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
バンテンは東南アジアの野生ウシで、ウシ科に分類される大型哺乳類です。
密猟と生息地の開発による森林破壊が主な脅威です。
保護区の管理強化と密猟対策が必要です。
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© Andy Isaacson / WWF-US
ニシゴリラ
- 分類:
- 霊長目ヒト科ゴリラ属
- 学名:
- Gorilla gorilla
- 英名:
- Western Gorilla
- 分布:
- 中部アフリカのコンゴ盆地
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
ニシゴリラはアフリカの熱帯雨林に生息する大型類人猿で、二つの亜種に分けられます。
森林破壊、密猟、感染症(エボラ出血熱)が主要な脅威です。
森林保護と感染症対策が急務です。
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© Josh Bowell
フクロムササビ
- 分類:
- 双前歯目リングテイル科フクロムササビ属
- 学名:
- Petauroides volans
- 英名:
- Greater Glider
- 分布:
- オーストラリア東部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
フクロムササビはオーストラリア東部に生息する有袋類で、樹上生活者として滑空します。
森林火災や伐採が主な脅威です。
森林保護と気候変動対策が必要です。
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© Andy Isaacson / WWF-US
キンイロアデガエル
- 分類:
- 無尾目マダガスカルカエル科マダガスカルカエル属
- 学名:
- Mantella aurantiaca
- 英名:
- Golden Mantella
- 分布:
- マダガスカル島
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
キンイロアデガエルはマダガスカルに生息する小型カエルで、鮮やかな体色が特徴です。
森林破壊と外来生物の影響が大きな脅威です。
生息地保全と違法採取の防止が必要です。
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© Antonio Busiello / WWF-US
ガラパゴスアホウドリ
- 分類:
- ミズナギドリ目アホウドリ科アホウドリ属
- 学名:
- Diomedea irrorata
- 英名:
- Waved Albatross
- 分布:
- ペルー(ガラパゴス諸島)、太平洋中東部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
ガラパゴス諸島のエスパニョーラ島で繁殖する大型の海鳥で、翼を広げると2.3メートルになります。海面近くの魚やイカを捕食します。
主な原因は、サメ漁で使われるはえ縄や流し網による混獲と、地球温暖化によるエルニーニョ現象による食物不足です。
混獲防止や温暖化対策に加え、感染症の対策が必要です。国際協力での保護が不可欠です。
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© Jürgen Freund / WWF
オサガメ
- 分類:
- カメ目オサガメ科オサガメ属
- 学名:
- Dermochelys coriacea
- 英名:
- Leatherback Turtle
- 分布:
- 北極海、ベーリング海、南大洋を除く海域
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
オサガメは現存するカメ類の中で最大の種で、体重は300~700キロに達します。基本的に外洋を泳いで生活しています。
産卵域の砂浜の減少、卵の乱獲、混獲、そして温暖化によりメスの比率が高まることが原因です。
砂浜の保全、混獲防止、そして海洋プラスチックごみ問題への対策が求められています。
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© Simon Lorenz / WWF-Hong Kong
ヨゴレ
- 分類:
- メジロザメ目メジロザメ科メジロザメ属
- 学名:
- Carcharhinus longimanus
- 英名:
- Oceanic Whitetip Shark
- 分布:
- 熱帯~亜熱帯の海域
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
熱帯と亜熱帯の外洋に分布するサメで、大きな背びれと胸びれが特徴です。イカや魚類などを捕食します。
主な原因はマグロ延縄漁での混獲とフカヒレ目的の過剰な漁獲です。
混獲防止対策とフカヒレの国際取引規制の徹底が必要です。
-
© Wim van Passel / WWF
イワトビペンギン
- 分類:
- ペンギン目ペンギン科マカロニペンギン属
- 学名:
- Eudyptes chrysocome
- 英名:
- Southern Rockhopper Penguin
- 分布:
- インド洋南部、太平洋南部、大西洋南西部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
亜南極圏に生息するペンギンで、岩場を跳ねるように移動することから名前が付けられました。
混獲や油汚染、外来生物の侵入による影響で個体数が減少しています。
外来生物の排除や、漁具の改良、海洋汚染対策が必要です。
-
© Y.-J. Rey-Millet / WWF
キタオットセイ
- 分類:
- 食肉目アシカ科キタオットセイ属
- 学名:
- Callorhinus ursinus
- 英名:
- Northern Fur Seal
- 分布:
- 北太平洋、ベーリング海、オホーツク海、日本海
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
防寒防水に優れた毛皮を持ち、主に海で暮らします。夏の繁殖期には繁殖地に上陸します。
乱獲が原因で個体数が減少し、混獲や油汚染も影響しています。
混獲防止や海洋汚染対策、持続可能な漁業の推進が必要です。
-
© Kevin_Schafer
ミナミウミカワウソ
- 分類:
- 食肉目イタチ科カナダカワウソ属
- 学名:
- Lontra felina
- 英名:
- Marine Otter
- 分布:
- 南米大陸西岸(ペルー、チリ、アルゼンチン)
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
海の環境に適応したカワウソで、魚やエビなどを捕食します。
かつての狩猟や生息地の減少、漁業資源の乱獲が原因です。
生息地の保全や持続可能な漁業の推進が求められています。
-
© Martin Harvey / WWF
ケープシロカツオドリ
- 分類:
- ペリカン目カツオドリ科シロカツオドリ属
- 学名:
- Morus capensis
- 英名:
- Cape Gannet
- 分布:
- アフリカ大陸南部沿岸のインド洋および大西洋
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
インド洋と大西洋の沿岸に生息し、優れた潜水能力で水深20メートルまで潜ることができる海鳥です。
漁業資源の乱獲や混獲、海洋汚染が主な原因で、特に食物の不足が問題となっています。
乱獲や混獲の防止、繁殖地の保護が必要で、これに加えて海洋汚染への対応も重要です。
-
© Fritz Pölking / WWF
アメリカワニ
- 分類:
- ワニ目クロコダイル科ワニ属
- 学名:
- Crocodylus acutus
- 英名:
- American Crocodile
- 分布:
- 北米フロリダ半島南端、中米~南米北部沿岸部、カリブ海諸国
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
淡水域から汽水域、海岸部にも生息するワニで、全長6メートルにもなる個体が存在します。
1930~60年代に皮を狙った乱獲が原因で数を減らし、現在は密猟と生息地の減少が問題となっています。
密猟防止や沿岸域の保全、生息国間の協力が重要な保護対策です。
-
© Jürgen Freund / WWF
ジンベエザメ
- 分類:
- テンジクザメ目ジンベエザメ科ジンベエザメ属
- 学名:
- Rhincodon typus
- 英名:
- Whale Shark
- 分布:
- 世界の熱帯~温帯の海域(地中海を除く)
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
世界最大の魚類で、最大20メートルにも達し、プランクトンや魚の卵を食べる温和な性格のサメです。
漁獲、混獲、船との衝突、海洋プラスチックごみなどが原因です。
海洋汚染対策、持続可能な漁業の促進、船舶との衝突防止策が求められています。
-
© S.Maekawa
クロツラヘラサギ
- 分類:
- ペリカン目トキ科ヘラサギ属
- 学名:
- Platalea minor
- 英名:
- Black-faced Spoonbill
- 分布:
- 東アジアの沿岸部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
しゃもじのようなくちばしを持ち、主に干潟や湿地帯で魚やエビを捕食する渡り鳥です。
沿岸域の急速な開発や汚染により、生息地が失われていることが原因です。
生息地の保全と、開発に伴う影響の軽減が必要です。
-
© Mikaail Kavanagh / WWF
ビロードカワウソ
- 分類:
- 食肉目イタチ科ビロードカワウソ属
- 学名:
- Lutrogale perspicillata
- 英名:
- Smooth-coated Otter
- 分布:
- インド亜大陸、インドシナ半島、マレー半島、中国南部、スマトラ島、ボルネオ島、ジャワ島
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
南アジアから東南アジアの湿地に生息し、魚や甲殻類を主食とするカワウソの一種です。
水力発電や養殖池の開発、農薬汚染、毛皮目的の密猟が主な原因です。
環境に配慮した開発と密猟対策、そして取引規制の強化が必要です。
-
© naturepl.com / Roland Seitre / WWF
カワゴンドウ
- 分類:
- クジラ目マイルカ科カワゴンドウ属
- 学名:
- Orcaella brevirostris
- 英名:
- Irrawaddy Dolphin
- 分布:
- インド東部~インドネシア、フィリピン沿岸の浅海域、および流入河川、その河口域
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
浅い海や大河川に生息し、魚やタコ、エビを食べる小型のイルカです。
混獲、船との衝突、ダム建設などが主要な脅威です。
持続可能な開発の推進と環境保全が急務です。
-
© Martin Harvey / WWF
ホオジロカンムリヅル
- 分類:
- ツル目ツル科カンムリヅル属
- 学名:
- Balearica regulorum
- 英名:
- Grey Crowned Crane
- 分布:
- アフリカ東部~南部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
派手な飾り羽を持つツルで、水辺の環境を好み、植物の種や小動物を食べます。
生息地の湿地開発、農薬の使用、ダム建設が主な脅威です。
湿地保全と農業改善が重要です。
-
© Ola Jennersten
バラシンガジカ
- 分類:
- 偶蹄目シカ科ヌマジカ属
- 学名:
- Rucervus duvaucelii
- 英名:
- Barasingha
- 分布:
- インド北部、ネパール
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
湿地に生息し、オスの角が特徴的なインドとネパールのシカです。
湿地の開発、狩猟、農地拡大が主な脅威です。
湿地の保全と水資源の持続可能な利用が必要です。
-
© WWF / Helmut Diller
ピレネーデスマン
- 分類:
- 真無盲腸目モグラ科ピレネーデスマン属
- 学名:
- Galemys pyrenaicus
- 英名:
- Pyrenean Desman
- 分布:
- ヨーロッパ西部(イベリア半島北部)
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
モグラに近い小型哺乳類で、流れの速い河川に生息します。
ダム建設、水質汚染、外来種が主な脅威です。
水環境の保全と開発行為の見直しが重要です。
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© WWF / Suthep Kritsanavarin
メコンオオナマズ
- 分類:
- ナマズ目パンガシウス科パンガシアノドン属
- 学名:
- Pangasianodon gigas
- 英名:
- Mekong Giant Catfish
- 分布:
- 東南アジア・メコン川流域
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
世界最大級の淡水魚で、最大3メートルに達するナマズです。
過剰な漁獲、ダム建設、生息地の変化が主な原因です。
国際協力による漁業規制と河川環境の保全が必要です。
-
© David Lawson / WWF-UK
インドガビアル
- 分類:
- ワニ目ガビアル科ガビアル属
- 学名:
- Gavialis gangeticus
- 英名:
- Gharial
- 分布:
- インド、ネパール、バングラデシュ
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
細長い口吻を持ち、魚を主食とする大型ワニです。川の流れの速い場所に生息します。
ダムや堰の開発、取水、密猟による影響で生息地が分断され、激減しています。
自然な川の流れの保全と、生息域の拡大が不可欠です。
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© Chris Martin Bahr / WWF
メキシコサンショウウオ
- 分類:
- 有尾目トラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属
- 学名:
- Ambystoma mexicanum
- 英名:
- Axolotl
- 分布:
- メキシコ
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
ウーパールーパーとして知られる両生類で、幼形成熟が特徴です。
メキシコシティ近郊の生息地が干拓や汚染で減少し、外来魚の影響もあります。
生息地の水質改善と、外来種の駆除が重要です。
-
© Shutterstock / Jens Goos / WWF-Sweden
カバ
- 分類:
- 鯨偶蹄目カバ科カバ属
- 学名:
- Hippopotamus amphibius
- 英名:
- Hippopotamus
- 分布:
- サハラ砂漠以南のアフリカ大陸
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
アフリカの河川や湖に生息する大型の草食動物で、水と陸を行き来して生活します。
水域の開発、干ばつ、狩猟や密猟によって生息環境が失われています。
河川や湖沼の流域全体を保全し、持続可能な農業と開発を推進する必要があります。
-
© WWF Japan
マナヅル
- 分類:
- ツル目ツル科ツル属
- 学名:
- Grus vipio
- 英名:
- White-naped Crane
- 分布:
- 東アジア
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
東アジアで繁殖し、冬季に日本や朝鮮半島に渡る大型のツルです。
湿地の開発や干ばつによる生息地の消失、集中する越冬地での感染症リスクが懸念されています。
繁殖地・越冬地・中継地の湿地環境を広域で保全し、協力して保護を進めることが重要です。
-
© Ola Jennersten / WWF-Sweden
クロサイ
- 分類:
- 奇蹄目サイ科クロサイ属
- 学名:
- Diceros bicornis
- 英名:
- Black Rhino
- 分布:
- サハラ砂漠以南のアフリカ
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
アフリカに生息する大型草食動物で、かつては広範囲に分布していましたが、現在は激減しています。
角を狙った密猟が最大の原因です。角は高額で取引され、さらに生息環境の消失も危機要因です。
密猟防止と違法取引の取締り、生息地の保全、国際的な協力が必要です。
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© Kinjal Vasavada
アフリカゾウ
- 分類:
- 長鼻目ゾウ科アフリカゾウ属
- 学名:
- Loxodonta africana
- 英名:
- African Savanna Elephant
- 分布:
- サハラ砂漠以南のアフリカ
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
現存する陸生動物では最大で、アフリカのサバンナやブッシュなどに生息しています。
象牙を狙った密猟と、生息地の開発による人間とのあつれきが主な原因です。
密猟防止、生息地の保全、人とゾウの共存を目指した取り組みが重要です。
-
© WWF Japan
セマルハコガメ
- 分類:
- カメ目イシガメ科ハコガメ属
- 学名:
- Cuora flavomarginata
- 英名:
- Yellow-margined Box Turtle
- 分布:
- 台湾、日本(八重山諸島)、中国南西部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
日本の八重山諸島や台湾、中国に生息するカメで、身の危険を感じると甲羅に隠れる特徴があります。
生息地の破壊と、珍しいペットとしての密猟・取引が主な原因です。
生息地の保全と、密猟・取引の規制が重要です。
-
© WWF / Martina Lippuner
ワキスジイワワラビー
- 分類:
- 二門歯目カンガルー科イワワラビー属
- 学名:
- Petrogale lateralis
- 英名:
- Black-footed Rock Wallaby
- 分布:
- オーストラリア中西部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- VU(2024年)
オーストラリアの乾燥した岩場に生息する中型有袋類で、厳しい環境に適応しています。
外来種による捕食と生息地の変化が減少の主な原因です。
外来生物の管理と、生息地の保護が不可欠です。
-
© Martin Harvey / WWF
アダックス
- 分類:
- 偶蹄目ウシ科アダックス属
- 学名:
- Addax nasomaculatus
- 英名:
- Addax
- 分布:
- アフリカ北部のサハラ砂漠
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
サハラ砂漠に生息する、乾燥地に最も適応したアンテロープで、長い角が特徴です。
高性能車両と銃器による密猟が主な原因です。
密猟防止と、生息環境の保護が急務です。
-
© Martin Harvey / WWF
ミミヒダハゲワシ
- 分類:
- タカ目タカ科ミミヒダハゲワシ属
- 学名:
- Torgos tracheliotos
- 英名:
- Lappet-faced Vulture
- 分布:
- アフリカ大陸サハラ以南、アラビア半島
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
動物の死肉を食べる大型ハゲワシで、2.8mの翼を持ちます。
毒餌や有害物質の摂取による中毒死が主な原因です。
化学物質の規制と、保護区の保全が必要です。
-
© WWF-Sweden / Ola Jennersten
アビシニアジャッカル
- 分類:
- 食肉目イヌ科
- 学名:
- Canis simensis
- 英名:
- Ethiopian Wolf, Simien Jackal
- 分布:
- エチオピア高原
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
エチオピア高地に生息する野生のイヌ科動物で、主にネズミ類を捕食しています。
農地開発、家畜の過放牧、狂犬病感染などが危機の主な要因です。
生息地の保全、狂犬病予防のワクチン接種、過剰放牧の規制が必要です。
-
© WWF / Helmut Diller
アジアスイギュウ
- 分類:
- 鯨偶蹄目ウシ科アジアスイギュウ属
- 学名:
- Bubalus arnee
- 英名:
- Asian Buffalo
- 分布:
- インド亜大陸~インドシナ半島
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
東南アジアに生息する、巨大な野生スイギュウで、家畜化されたスイギュウの祖先です。
家畜との交雑、生息地の破壊、家畜由来の病気が主な原因です。
家畜との交雑防止、密猟防除、生息地保全が重要です。
-
© WWF / Helmut Diller
アフリカノロバ
- 分類:
- 奇蹄目ウマ科ウマ属
- 学名:
- Equus africanus
- 英名:
- African Wild Ass
- 分布:
- アフリカ北東部
- IUCN Red Listの危機ランク:
- CR(2024年)
アフリカ北東部の乾燥地帯に生息する野生のロバで、家畜ロバの祖先です。
密猟と、放牧による草地の奪取が大きな要因です。
密猟防止、地域の貧困対策、生息地の保全が必要です。
-
© Staffan Widstrand / WWF
トラ
- 分類:
- 食肉目ネコ科ヒョウ属
- 学名:
- Panthera tigris
- 英名:
- Tiger
- 分布:
- アジア大陸北東部、東南アジア、インド
- IUCN Red Listの危機ランク:
- EN(2024年)
アジア全域に広く分布する、ネコ科最大の肉食獣で、各地域に適応した多様な亜種がいます。
密猟と生息地の減少、獲物となる草食動物の減少が主な原因です。
密猟防止、持続可能な開発、生息環境の保全が重要です。
この生きものたちと共生できる世界を目指して
今、地球上ではさまざまな自然環境と、希少な野生生物が危機にさらされています。
絶滅の危機にあるとされる野生生物は、2024年7月現在、4万5,000種以上。
その危機の原因は、森林破壊、海洋環境の悪化、乱獲や密猟、そして気候変動(地球温暖化)といった環境問題です。
WWFはこの問題に対して、野生生物の生息環境を保全すると共に、人と自然が共存できる「サステナブル(持続可能)」な
社会を実現することで、その解決を目指しています。
野生動物を守ることは、豊かな自然を守ること
WWFジャパンでは、森林や海洋といった、野生生物の生息環境の保全活動に加え、特に直接的な危機の原因となっている、 密猟や密輸などの問題に取り組んでいます。 ぜひ皆さまのご支援をお願いいたします。