デジタルマップで見る南西諸島の生物多様性


沖縄を中心に九州南端から台湾まで連なる「南西諸島」。WWFジャパンは、その生物多様性についての情報をまとめ、これを保全してゆく上で重要な地域を示したデジタルマップDVDを制作しました。これは今後、南西諸島の生物多様性を持続可能な形で利用するための施策や、拡充してゆくべき保護区の候補地などを検討する際の、重要な基礎資料となるものです。

「南西諸島」の生物多様性

ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギ、ノグチゲラ... 南西諸島の島々には、世界でこの場所でしか見ることのできない固有種や固有亜種、また絶滅の危機に瀕している野生の動植物が数多く生息しています。

この島々で見られる生物多様性の豊かさと、独特な自然の姿は、まさに世界自然遺産クラス。
しかし、その保全は今も決して十分には行なわれておらず、年々環境の悪化が懸念されています。

南西諸島の自然保護に取り組んできたWWFでは、今後の保全の取り組みをさらに充実したものにしてゆくため、2006年から3年にわたり、「WWF南西諸島生きものマップ・プロジェクト」を推進。

多くの専門家のご協力のもと、南西諸島に生息する魚類や鳥類、両生・爬虫類、無脊椎動物、哺乳類など、さまざまな生物を分類群ごとに調査し、その結果を地図上にまとめて、どの地域や海域を優先的に保全するべきかを検討してきました。

重要な地域の保全を求めて

今回、WWFではDVD「南西諸島生物多様性優先保全地域地図:GIS版」を制作するにあたり、南西諸島生きものマップ・プロジェクトで集積した調査結果に、国立公園や自然林などの情報を追加。

さらに、GIS(地理情報システム)を使い、哺乳類、鳥類などの生物群の重要地域と、現状で設定されている保護区などの状況をパソコン上で重ねて閲覧したり、印刷できるようにしました。

また、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の協力のもと、地球観測衛星「だいち」の衛星写真上に、生物多様性を優先的に保全すべき地域の情報を重ね合わせた地図も、PDF形式で収録しています。

WWFではこのDVDによる資料を、地域の調査研究、保全活動に活用してもらうため、行政関係者や、各分野の研究者、市民グループに配布。
さらに、沖縄県と鹿児島県に対し、行政区分の壁を越えた「生物多様性地域戦略」の策定を求め、保護区新設などの実行策を検討する際にも活用してもらうよう、働きかけてゆくことにしています。

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沖縄島北部の亜熱帯林「やんばる」

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石垣島白保のサンゴ礁

記者発表資料 2010年11月5日

DVDの入手を希望される方もこちらをご覧ください

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