初の動画撮影に成功!四国のツキノワグマ親子
2013/06/05
その生息数が十数頭ともいわれる四国のツキノワグマ個体群。その生息地である剣山山系でこの春、親子のツキノワグマの姿を捉えた動画の撮影に成功しました。これはWWFとNPO法人四国自然史科学研究センターが共同で実施する「四国地方ツキノワグマ地域個体群絶滅回避のための総合調査」の中で撮影されたもので、親子のツキノワグマの動画が四国において記録されるのは、今回が初めてのケースとなります。
春、その姿を見せた親子グマ
今回、撮影が行なわれた場所は、高知県と徳島県にまたがる剣山山系の、標高約1,020mの南東向きの斜面です。
調査チームが、GPS付きの首輪を付け、前年から行動を追跡調査していたメスのツキノワグマ「ショウコ」の冬眠穴を発見したのは、三度にわたる調査を経た2013年3月下旬のことでした。
渓谷を挟んで200メートル以上離れた距離から、冬眠行動を妨害せずに観察を開始。冬眠から覚めて行動を開始するところを撮影するべく、4月3日より5月12日の冬眠穴出まで35日間の観察を続けました。特に5月6日の午前7:00前後に撮影された映像は、冬眠穴を出たり入ったりする仔グマの様子を鮮明に捉えています。
ツキノワグマのメスは冬眠中に出産しますが、ショウコは推定年齢13才の高齢で、この冬に出産するかどうか不明でした。
しかし、撮影された動画は、仔グマ2頭の姿も捉えており、絶滅寸前といわれる四国のツキノワグマが、確実に繁殖していることを示す貴重な資料となりました。
四国のツキノワグマは現在、環境省の「レッドリスト」で「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されていますが、その生態や生息環境などについては、いまだに謎が多く残されています。
これからの保護について、調査チームの四国自然史科学研究センター研究員の山田孝樹さんは、「基礎データを継続して収集していくと同時に、関係機関が連携して、具体的な保全策を計画・実施していくことが重要」と指摘しています。
今回、撮影された映像が、四国のツキノワグマの保護と、その生息環境の保全について、全国的な関心を呼び起こすきっかけとなることが期待されます。
記者発表資料
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