加速する?パーム油の認証制度
2015/01/27
2014年11月、マレーシアのクアラルンプールにおいてRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の第12回年次総会が開催されました。欧米の多くの企業が2015年までにパーム油を100%認証油に切り替える、という目標を掲げています。このような情勢の中、パーム油関連産業が持続可能な方向へ更に転換していくには、次にどのような一歩が必要なのか、各国から集まった800名を超えるさまざまな立場の参加者が広く意見交換を行いました。
認証油への流れ
現在世界で生産されるパーム油のうち、18%が認証油となっています。量にすると1,190万トン、農園面積にすると261万haがRSPOの基準に沿い環境面・社会面で管理されています。
また、欧州では国単位でコミットメントを発表している国もあります。例えばイギリスでは2015年末までに国内で使用するパーム油と核油を100%認証された持続可能なパーム油とすることを、イギリス環境食糧農村地域省や業界団体などが連名で発表しています。最新の報告では、2013年の時点で55%のパーム油が既に認証油(グリーンパーム含む)に切り替わったと推定されています。
日本でもRSPOメンバーのうち複数社が2015年末を認証油への100%切り替えの目標年としているため、国内の市場でも徐々に認証油の割合が増えていくことを期待しています。
テーマ①パーム油のトレーサビリティ
アブラヤシは主にインドネシアとマレーシアの2ヵ国で生産されています。両国にとって、アブラヤシは経済成長のために重要な作物ですが、急速な農園開発が引き起こした森林減少が深刻な問題となっています。RSPOはこうした問題を解決するための手段であり、環境面や社会面に配慮して生産されたアブラヤシから作られた認証パーム油を使うことが問題解決につながるとWWFは考えています。
特に最近では、パーム油をつかっている企業それぞれが、実を絞る搾油所まで、もしくは農園までのトレーサビリティを確認すること、またパーム油の生産全体を森林減少と切り離すことが強く叫ばれています。そして、一部の先進的な企業では「パーム油全量について農園までトレーサビリティをとること」「森林破壊ゼロ(No Deforestation)」といった、RSPOが求める認証油への100%切り替えを超えた部分についても、約束を掲げ始めています。
テーマ②小規模農家の認証取得
アブラヤシの農園には、搾油所を持つ企業の自社農園の他に、外部の契約農園や独立農園といった小規模農家があります。搾油所では、こうしたさまざまな農園からアブラヤシの実を集めて油を搾りますが、小規模農家にも大きく依存しています。しかし、小規模農家は経済的な理由や知識の不足から認証取得が困難なことが多く、栽培方法に課題があることも少なくありません。
近年、多くの企業やNGOが小規模農家に対し認証取得の支援を行っています。RSPOでも「小規模農家支援基金(RSPO Smallholder Support Fund)」を立ち上げ支援を開始しました。その結果、インドネシア、マレーシアを始め、タイなどでも小規模農家の認証取得者が出始めており、今後もこの動きは拡大していくと考えています。
RSPO、規則を守らない企業の除名を告知
RSPOの会員は毎年、認証パーム油への取組について期限を定めた計画の進捗状況を年次報告(ACOP、Annual Communication Of Progress)としてRSPO事務局に提出することが義務とされています。しかし、2014年は約4割の会員が未提出であるなど、長年提出率の向上が課題となっていました。こういった状況を改善するため、RSPOはついに、約束を守らない会員を除名処分とすることを発表しました。
RSPO会員の義務となっている年次報告を過去3年間提出していない会員を除名、過去2年提出していない会員を一時身分保留処分とすることとしています。