MSC認証を取得!北海道のホタテ漁業
2013/05/13
2013年5月13日、北海道漁業協同組合連合会によるホタテガイ漁業が、「MSC認証」を取得しました。厳しい基準に基づいて行なわれるこの国際的な認証は、環境への配慮と水産資源の持続可能な利用を実現した漁業に与えられるもので、MSCマークは「海のエコラベル」とも呼ばれます。今回のホタテ漁業のMSC認証取得は、国内では、京都府機船底曳網漁業連合会によるアカガレイ、ズワイガニ漁業に続くものであり、今後の持続可能な漁業への推進力となることが期待されます。
国内生産量の約90%がMSC認証に!
WWFは約100カ国で活動している環境保全団体です。
今回、MSC(海洋管理協議会)の認証を取得した、北海道漁業協同組合連合会によるホタテガイ漁業は、噴火湾およびサロマ湖での「垂下式」漁業と、根室海峡に面する道東部を含むオホーツク海水域の「けた網」漁業です。
北海道全体での2012年度のホタテガイの総水揚量は41万7,000トン(原貝ベース)ですが、そのうち41万トンが持続可能な水産物として認証を受けたことになりました。
これは、国内生産量の約90%に相当する、北海道産ホタテガイのほぼ全体を占めるものでもあります。
この北海道産のホタテガイは、国内消費だけではなく、毎年その約30%が、中国、ベトナム、韓国などアジア地域の他、欧米へも輸出され消費されています。
世界のホタテガイ漁業生産のほぼ3分の2は日本と米国が占めるといわれていますが、今回、日本の生産量の約9割がMSC認証を取得したことは、すなわち世界のホタテガイ漁業生産の相当量がMSC認証を受けることにほかなりません。
漁獲量減少の危機を越えて
北海道のホタテガイ漁業は、過去に厳しい歴史を負っていました。1950年代、過剰漁獲により水揚げ量が年間6,000トンまで減少したのです。
しかし、漁獲量を規制して育てる漁業への転換を図った結果、1975年には年間7万トンまで回復。その後の北海道漁業協同組合連合会の管理努力により、近年は毎年およそ40万トンの水揚げを誇ってきました。
一般に、ホタテガイの垂下式漁業は貝の糞などによる海水の富栄養化、けた網漁では網による魚や水鳥などの混獲や海底環境の破壊などが懸念されます。
しかし、北海道漁業協同組合連合会による生態系への配慮の努力が、MSC認証でも認められるところとなり、認証取得の運びとなりました。
認証取得に際し、北海道漁業協同組合連合会(本所:札幌市)の櫻庭武弘代表理事会長は、「北海道のホタテガイ漁業は、先人たちの並々ならぬ努力により、安定した生産を維持し、北海道の基幹魚種としての基盤を築きました。本会は3年前から北海道ほたて漁業振興協会と連携してMSC認証取得に挑戦してきましたが、今回の認証取得により、わたしたちの取り組みが世界的に評価されたことは、大変な名誉と感じています」と語っています。
世界の海の環境保全と、持続可能な漁業推進のため、MSCの立ち上げと、その推進・普及に協力してきたWWFでは、今回の認証取得が、ホタテガイの資源管理という側面にとどまらず、科学的なデータの蓄積に基づいた、海の生態系保全という観点からも、環境負荷が低いと評価された意義は大きいと考え、関係者の方々の努力に敬意を表すると共に、この漁業が世界の持続可能な漁業を牽引するものとして期待しています。