「アースアワー」でつながる輪 学生さんと絵馬づくりワークショップを実施
2014/10/23
2014年3月29日(土)に開催された、世界最大の環境キャンペーン「アースアワー(Earth Hour)」。過去最多の162の国と地域から、7,000以上の都市と町でライトダウンが行われました。WWFジャパンは、「東京コミュニケーションアート専門学校」と連携し、学生さんによる公式ポスター制作および、アースアワー当日に横浜・みなとみらいで行われたイベントでの絵馬づくりワークショップを企画。この度、その様子をまとめた動画が完成しました。
アースアワーの消灯リレーが地球を一周
「アースアワー」は、世界中の人々が、それぞれの地域で同じ日の同じ時間(午後8時30分)から、電気を1時間消すアクションを通じて、「地球の環境を守りたい」「温暖化を止めたい」という思いをわかちあうイベントです。8回目となる2014年は3月29日(土)に開催され、南太平洋のサモアから始まり、地球をぐるりと一周して約一日後、南太平洋のタヒチで終了しました。
参加した162か国の各地域では、代表的なモニュメントの消灯はもちろんのこと、自然エネルギーを活用したコンサートやキャンドルの灯りのもとでのイベント開催、植林やCO2削減などの環境活動に取り組むなど、さまざまなアクションが展開されました。
日本では、3月25日~29日に温暖化の科学に関する国際会議「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」が開催されたのを機に、会場となった横浜市がアースアワーに参加。WWFジャパンでは、この横浜・みなとみらいを舞台にイベント『EARTH HOUR 2014 in Yokohama』を実施。いつもは夜景が美しい辺り一帯がいっせいにライトダウンしました。
学生さんと連携して公式ポスター制作・ワークショップを企画
今回、数々のクリエーターを輩出している「東京コミュニケーションアート専門学校(以下、TCA)」とのコラボレーションが実現。TCAの「企業プロジェクト」の一貫として、WWFジャパンでは、グラフィック専攻の1年生と公式ポスターを制作し、インテリア&プロダクトデザイン専攻・雑貨デザイン専攻の2、3年生とワークショップの企画に取り組みました。
公式ポスターの制作では、「アースアワーを知らない人が参加したくなるようなデザイン」をテーマに、約20名の学生さんにデザインを考えていただきました。
力作ぞろいのなか、影山吾美さんの作品の採用が決定。
影山さんは、アースアワーの温かい空気感を家族をモチーフに表現し、世界中の人々や老若男女の楽しむ姿を描くことで、世界がつながるアースアワーを視覚的に伝わるようにデザインしました。
公式ポスターは、イベント会場をはじめとするみなとみらい地区の施設で掲示したほか、WWFジャパンのウェブサイトにてフリーダウンロードツールとして公開し、自由に印刷して学校や職場で配布できるようにしました。
若いアイディアが活きた絵馬づくりワークショップ
3月28日(金)29日(土)に横浜・運河パークで開催したイベントでの、ワークショップの企画にも取り組みました。テーマは「アースアワーを通じて、楽しみながら環境についての意識を高めること」。
工夫を凝らしたアイディアの中から採用されたのは、小林由季さん考案の、おがくず粘土「もくねんさん」を使った絵馬づくりワークショップ。採用の決め手となったのは、本来ならば廃棄されてしまう鉛筆工場で出た大量のおがくずを、粘土状にリサイクルした素材を使用している点です。
さらに、絵馬の一部をくりぬき、ブローチやオーナメントとして持ち帰ってもらうことで、アースアワーの気持ちをいつまでも忘れないようにする"しかけ"が用意されていたり、WWFらしい野生動物がモチーフにされていたりなど、柔軟なアイディアが盛り込まれていました。
同時にこの企画は、アーティスト集団「ミラーボーラーズ」とのコラボレーション企画としても進められ、彼らが得意とするものづくりの視点から、打越俊明さんにアドバイザーとしてとしてご協力いただきました。TCAの学生さんたちは、春休み返上で準備にあたってくださり、木のぬくもりが残る絵馬が100セット完成しました。
イベント当日は、地球に思いを馳せた願いごととイラストを来場者に描いてもらい、ミラーボーラーズさんの自転車発電で光るタマゴ型インスタレーション「The Egg of Earth」へ結びつけていきました。子どもたちはもちろん、カップルや、日本に旅行に来ていた外国の方も多く、老若男女、国際色豊かな絵馬が集まりました。
絵馬に込められた願いごとは、地球に生まれ育ったことへの感謝の気持ちや、いつまでも美しい地球であり続けてほしいという想いなど、実にさまざま。いずれも環境への高い意識と、心のあたたかさを感じさせてくれるものでした。イベントでも大好評で終了し、ご参加いただいた皆さま、改めてありがとうございました。
地球の未来への願いがこもった絵馬を奉納
そして5月頭、来場者の願いごとが込められた絵馬は、TCAの学生さんとWWFジャパンスタッフによって、"関東のお伊勢さん"こと伊勢山皇大神宮に奉納されました。神聖な雰囲気の中、無事奉納が行われ、TCAさんとの約半年にわたる取り組みもこれにて終了。
学生さんとのイベントでの連携は初の試みでしたが、若い発想や熱意にはこちらが学ぶことも多くありました。また学生さんにとってもWWFの活動について理解を深め、より身近に感じていただく良い機会となりました。
2015年のアースアワーは、3月28日(土)20:30-21:30。日程が近づきましたらまたこのウェブサイトでお知らせしてきますので、次回も皆さまのご参加を心よりお待ちしています!
学生さんからのご感想
公式ポスターとしてデザインが採用された影山吾美さん、ワークショップ発案者の小林由希さんより当企画に取り組まれての感想をいただきました。
◆公式ポスター制作 グラフィックデザイン専攻 2年 影山 吾美さん
採用された時は、何がなんだか分からずに嬉しかったことを覚えています。しかし、実際にアースアワーをより多くの方に伝えるツールとして、校正を繰り返していくうちに採用されるという実感がわきました。仕事の大変さ、実際に使われる嬉しさ、 協力していただくありがたさなど沢山の事を教えて頂きました。学生として、このような体験をさせて頂き本当に有難うございます。イベントには参加できませんでしたが、お家でゆっくりと電気を消し、ロウソクを灯してアースアワーの1時間を過ごしました。
◆ワークショップ発案 雑貨デザイン専攻 3年 小林 由季さん
今回、産学共同プロジェクトでアースアワーのワークショップに参加させていただき、とても貴重な経験となりました。企画から準備に至るまで大変な時期もありましたが、私達にとっても楽しく取り組むことができ、WWF様とミラーボーラーズ様とTCAだからこそ成功できたものだと私は思います。そして、参加してくださった子どもから大人まで多くの方々が笑顔で楽しむ姿は、とても嬉しい気持ちになりました。これをきっかけに一人ひとりが動物・環境・人間の共存について考え直すことで、この地球がより住みやすい場所となるように心より願っております。
アースアワーのコンセプトは、「つながる気持ちが、世界を変える」。アースアワーがくれた新たな「つながり」に感謝し、この場を借りて改めて御礼申し上げます。TCAさんとの半年にわたる取り組みの一部始終は、映像ボランティア・石田健祐さんのご協力によって動画にまとめられていますので、ぜひご覧ください!