「わいるどアカデミー+(ぷらす)」2015年夏休み親子企画 開催報告


2015年8月29日、第9回目のWWF会員のつどい「わいるどアカデミー+(ぷらす)」を開催しました。今回は夏休み親子企画として、ジュニア会員とご家族を中心に、33名の皆さまにご参加いただきました。インドネシアや極東ロシアのフィールドにおいて、保護活動の中で大きな役割を果たす『カメラトラップ』 をテーマにした今回のイベントの様子をご報告いたします。

カメラトラップって何?野生動物の調査方法を紹介

さまざまな環境保全に取り組むWWFの活動を、担当スタッフからサポーターの皆さまに報告し、また直接交流することを目的とした会員のつどい「わいるどアカデミー+(ぷらす)」も2015年 で4年目になりました。

今回は、夏休み中の小中学生の皆さまに、楽しくWWFの保全活動と野生動物のことを学んでいただくため、「カメラトラップ」という調査方法をご紹介いたしました。

森にすむ 動物を保全するためには、何が必要なのでしょう?どこにいるのか、どのくらいの数が生息しているのか、その動物をよく知る必要があります。

そこで、大活躍してくれるのが「カメラトラップ」という調査方法です。

約23センチ×13センチのカメラを森の木に固定し、その前を動くものが通ると、赤外線センサーが反応して、自動的に写真やビデオが撮影される仕組みです。

人が近くにいると姿を隠してしまったり、普段は木立や藪の奥深くひそんで、まず目にすることのできない熱帯の森の野生動物も、カメラトラップを使えば、ばっちりその姿を撮影することができます。

この調査方法を用いたおかげで、ボルネオ島のインドネシア領カリマンタンでは1990年代に絶滅してしまったと思われていた、スマトラサイの生存が2013年に確認されました。

動物の調査に大活躍してくれる心強いカメラですが、森の中に実際にそれを配置する作業は、とても大変です。

WWFジャパンのスタッフが同行した時の例では、 草木生い茂る森の道なき道を突き進み、約2時間かけてカメラの設置点まで歩きました。そこでカメラを設定し設置した後、また2時間の道のりを戻ります。そのカメラを定期的に確認し、貴重な動物の調査をするのです。森からでてきたスタッフは設置だけで、すでにクタクタになってしまいます。

今回の「わいるどアカデミー+(ぷらす)」では、そうした模様を写真で実際に見ていただきながら、ご参加いただいた皆さまにお話しをさせていただきました。

また、現物のカメラトラップを使ったデモンストレーションも行ないました。

使用したのは、今回のイベントのため、WWFインドネシアのスタッフが、日本に送ってくれた、現場のフィールドで使われているカメラの実機です。

実際にカメラを会場に設置してみて、どのように映るのかをテスト。来てくださったお子さまたちが、サイの歩き方の真似をして、中腰になり、カメラの前を横切ります。すると、カメラには赤いランプが光り撮影開始。収録したデータをパソコンで開いてみると、行列でカメラの前を横切る皆さまの動画を見ることができました。

こんなふうに撮れるんだ!と、皆さま興味津々でした。

カメラトラップに映った動物たち

続いて、実際に東南アジアのボルネオ島、スマトラ島、極東ロシアのアムールの森の中に設置したカメラトラップで撮影された、さまざまな野生動物の解説を、クイズを交えて行ないました。

「この動物はなにかな?」というクイズに対しては、さすがは、WWFジャパン・ジュニア会員の皆さま、「マレーグマ!」や「スマトラサイ!」という正確な答えが、会場のあちこちからあがりました。

「この4枚の写真のトラは、全て同じトラでしょうか?それとも何頭か同じトラが写っているのでしょうか?」というクイズにも、「このトラのこの縞模様が同じ」「耳の後ろにある白い模様が一緒だと思う」などなど、それぞれするどい視点のお答えが返ってきて、スタッフもその観察眼に舌をまきました。

正解は・・この4枚の写真には3頭のトラが写っています。つまり、このうちの2枚が同じトラです(左上と右下)。観察ポイントは、皆さまが指摘するようにトラの模様です。トラの模様は一頭一頭みんな違います。

極東ロシアで撮影されたツキノワグマの映像には、会場から笑い声があがりました。夢中になって木に背中をこすりつけて、最後には木を抱きしめるクマ。いったい何をしているんでしょう?これは、自分のにおいをつけて縄張りのアピールと思われます。こんな面白い行動がみられるのも、カメラトラップのおかげです。

そして最後に、皆さまに1つの映像を見ていただきました。

「これは何の動物でしょうか?」スタッフの問いかけに、みなさま困惑気味です。まずライトのようなものが写り、最後にはそれが銃を持った人間だと分かりました。

カメラトラップは、時には、密猟者も撮影します。
そのレンズは、自然のありのまま姿のみならず、それを脅かす脅威の原因も捉えることがあるのです。

みんなで森を守ろう!

密猟や大規模な森林伐採によって、絶滅の危機にある野生動物たち。

そんな動物とそのすみかである自然環境を守るために私たちは何ができるのでしょうか。

WWFからは、その質問を参加されたお子さまたちへの夏休みの最後の宿題として、出させていただきました。

また、家に帰ってから、その参考にしていただけるように、森を守りながら生産された木材や紙を認証する「FSC®認証」や、同じく森に配慮して作られたパーム油を認証する「RSPO」を紹介する冊子をお渡しし、そうした認証の製品を選ぶなど、一人ひとりにできることを、考えていただきました。

スタッフ一同がお伝えしたかった、自然や希少な野生動物を守ることへの思い、またそのために必要とされているさまざまな取り組みについて、皆さまにしっかりとご理解をいただき、また周りの方々にもお伝えいただければ嬉しいです。

夏休み最後の週末に開かれた、今回の「わいるどアカデミー+(ぷらす)」。
お陰さまで、無事に終了いたしました。ご参加くださった皆さまに、心よりお礼を申し上げます。

最後に、パンダ君と参加してくださった皆さまと、記念撮影

関連情報

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP