日本の水産マーケットに潜むリスク対策強化を! (違法・無報告・無規制)漁業や水産現場での人権侵害についての対策を求める 共同宣言書を国内水産企業13社とともに発表


公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下 WWF ジャパン)もメンバー団体であるIUUフォーラムジャパン(WWFジャパン、株式会社シーフードレガシー、一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局 ほか)は、2024年9月30日、水産庁に対し、IUU(違法・無報告・無規制)漁業によって調達された水産物の国内市場への流入防止強化を求める共同宣言書を水産物流通に携わる国内主要企業13社ととともに提出しました。

「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」の強化をはじめとした IUU漁業および人権侵害対策の更なる改善を求める共同宣言書

IUU漁業とは?

IUU漁業は、持続可能な水産資源の利用や海洋生態系の破壊をはじめ、水産業で働く人々の公正な経済活動を阻む国際課題です。SDGsの目標14の中にもその撲滅がうたわれており、世界の国や地域で対策が取られています。

世界有数の水産物輸入市場である欧州連合(EU)や米国では、IUU漁業に由来する水産物を自国市場で流通させないようにするため、15年ほど前から規制を実施しています*1。しかし、行き場を失ったそのような水産物が日本に流入するリスクが増大し、2017年には日本の輸入水産物のうち24〜36%がIUU漁業に由来すると推定されました。

こうした状況を受け、日本でも2022年に「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」(水産流通適正化法)が施行され、現在7魚種(イカ、サンマ、サバ、マイワシ、アワビ、ナマコ、シラスウナギ)が規制の対象となっています。

共同宣言書の概要

水産流通適正化法は2年ごとに内容が見直されることになっており、2024年9月より、水産庁が有識者による推進会議を開催しました。共同声明は、国内の14の企業や団体が署名し、同会議と水産庁に対し、さらなる規制強化、そのための技術開発に加え、国際社会との連携を求めています。

「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」の強化をはじめとしたIUU漁業および人権侵害対策の更なる改善を求める共同宣言書」の本文はこちらを参照ください。

IUUフォーラムジャパン 植松周平(WWFジャパン IUU漁業対策マネージャー)のコメント

「世界有数の水産物輸入市場である日本が、2022年に水産流通適正化法を施行したこと、さらに今年9月、水産庁が『水産流通の適正化推進会議』においてIUU漁業由来の水産物の流通防止策について有識者による検討を開始したことは、水産大国日本の責任を果たす上で大きな前進です。規制強化が進む欧米で受け入れられないブラックな水産物が日本市場に流入することを防ぎ、日本の食卓と水産業を守るために、日本でもIUU漁業対策強化を緊急に実施する必要があります。一方、複合的な要因が絡み合うIUU漁業の問題には、もはや一企業だけでは対処はできず、国、企業、NGO等が一丸となって取り組んでいくことが必要です。この度、IUU漁業撲滅を願う日本の主要ステークホルダーとともに本宣言書を提出できたことは、画期的な事柄であり、IUU漁業対策強化をめざす政府の大きな後押しになることを期待しています。」

*1 欧州連合(EU)では「IUU漁業規則」が2010年に、アメリカ合衆国ではSIMP(Seafood Import Monitoring Program)が2018年に施行

IUUフォーラムジャパンは、持続可能な水産業への取り組みをしている以下の団体・企業が、違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策に関して共同で活動することを目的に2017年に発足しました。

●WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。

●株式会社シーフードレガシー
シーフードレガシーは、海洋生態系・水産経済・地域社会の繋がりを象徴する水産物(シーフード)を豊かな状態で未来世代に継いでいく(レガシー)ことをパーパスに掲げる、社会的企業です。私たちは、日本の水産サステナビリティのパイオニアとして、世界を網羅する幅広いネットワークと日本随一の専門知識を生かし、国内外の水産企業、金融機関、NGO、政府等と協働してその取り組みをアジア、世界へとさらに加速させていきます。

●セイラーズフォーザシー日本支局
米国ロックフェラー家当主であるディビッド・ロックフェラーJr.が設立した海洋環境保護NGOの日本支局として2011年に発足、その後日本の一般社団法人として独立運営の形をとり、世界最大の海洋環境NGOでワシントンD.C.に本部を置くOceana、モナコのアルベール2世大公財団とアフィリエイト契約を結んでいます。活動は、「ブルーシーフードガイド」の発行を中心に水産資源の持続可能な消費の啓発、クリーンレガッタプログラムの運営による海洋スポーツの環境保全基準値設定とプラスチックゴミの削減、KELPプログラムによる子供達の海洋教育の3つのプログラムを基軸に広範に及びます。

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WWFは100カ国以上で活動している
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