私たちの食卓を支える海の恵みは、
獲りすぎなければ、数が激減したり、絶滅してしまうことなく、
自然のサイクルに従って再生産され、その数は維持されます。
しかし今、魚の3割強が獲りすぎの状態に。
店頭にいつも並んでいるからといって、海の資源が安定しているとは限りません。
私たちの消費のしかたで、海や魚を守ることにも、壊すことにもつながります。
海や魚に起きていることを知って、日々の消費に役立てませんか。
私たちの食卓を支える海の恵みは、
獲りすぎなければ、数が激減したり、
絶滅してしまうことなく、
自然のサイクルに従って再生産され、
その数は維持されます。
しかし今、魚の3割強が獲りすぎの状態に。
店頭にいつも並んでいるからといって、
海の資源が安定しているとは限りません。
私たちの消費のしかたで、海や魚を守ることにも、
壊すことにもつながります。
海や魚に起きていることを知って、
日々の消費に役立てませんか。
クロマグロ類・ミナミマグロ
クロマグロ類・ミナミマグロ
クロマグロ類・ミナミマグロは、乱獲により資源が減少したため、他のマグロに比べて厳しく管理され、資源は回復傾向にありますが、依然としてクロマグロとミナミマグロの資源量は低いままです。タイセイヨウクロマグロは、他より速く回復してきていますが、2018年に大規模な違法漁業が発覚するなど、管理体制も含めて改善が必要です。
クロマグロ類・ミナミマグロは、養殖も盛んです。養殖は、トロの部分を多くできたり、安定的に出荷できたりとメリットも多いですが、多くは「蓄養」という天然幼魚を漁獲し、育てる方法のため、適切な資源管理が重要です。一方、日本では、クロマグロの卵を人工的にふ化させ育てる「完全養殖」も行われていますが、餌としてイワシなどを大量に消費し、その食べ残しや排泄物による海洋汚染など、課題もあります。
クロマグロ類・ミナミマグロは、乱獲により資源が減少したため、他のマグロに比べて厳しく管理され、資源は回復傾向にありますが、依然としてクロマグロとミナミマグロの資源量は低いままです。タイセイヨウクロマグロは、他より速く回復してきていますが、2018年に大規模な違法漁業が発覚するなど、管理体制も含めて改善が必要です。
クロマグロ類・ミナミマグロは、養殖も盛んです。養殖は、トロの部分を多くできたり、安定的に出荷できたりとメリットも多いですが、多くは「蓄養」という天然幼魚を漁獲し、育てる方法のため、適切な資源管理が重要です。一方、日本では、クロマグロの卵を人工的にふ化させ育てる「完全養殖」も行われていますが、餌としてイワシなどを大量に消費し、その食べ残しや排泄物による海洋汚染など、課題もあります。
メバチ
メバチ
資源量はクロマグロ類・ミナミマグロに比べて豊富ですが、資源が減少している海域もあるので注意が必要です。また、浮き漁礁を用いた巻き網漁では、多くの未成魚が漁獲されるため、資源への悪影響が心配されています。特にメバチについては、漁獲された未成魚の多くが、捨てられたり、安価で取引されており、問題視されています。
資源量はクロマグロ類・ミナミマグロに比べて豊富ですが、資源が減少している海域もあるので注意が必要です。また、浮き漁礁を用いた巻き網漁では、多くの未成魚が漁獲されるため、資源への悪影響が心配されています。特にメバチについては、漁獲された未成魚の多くが、捨てられたり、安価で取引されており、問題視されています。
サケ類
サケ類
天然サケは、日本では主に定置網で漁獲されますが、アラスカやロシアなどでは刺し網や巻き網なども用いられます。これらの漁法はしばしば対象魚以外のイルカやウミガメなどの混獲が問題となっています。また近年、日本に戻ってくるサケの量は減少が続いていますが、原因はよくわかっていません。
一方、サケ養殖は、日本でも宮城県など全国各地で行われていますが、ノルウェーやチリが有名です。養殖技術の改良も進められていますが、排泄物や餌の食べ残しによる海洋汚染や、病害虫の管理に課題が残っています。
またチリでは、サーモン養殖業が急拡大したため、養殖業者と地域住民との間でトラブルが発生することもあり、社会的な問題も指摘されています。
天然サケは、日本では主に定置網で漁獲されますが、アラスカやロシアなどでは刺し網や巻き網なども用いられます。これらの漁法はしばしば対象魚以外のイルカやウミガメなどの混獲が問題となっています。また近年、日本に戻ってくるサケの量は減少が続いていますが、原因はよくわかっていません。
一方、サケ養殖は、日本でも宮城県など全国各地で行われていますが、ノルウェーやチリが有名です。養殖技術の改良も進められていますが、排泄物や餌の食べ残しによる海洋汚染や、病害虫の管理に課題が残っています。
またチリでは、サーモン養殖業が急拡大したため、養殖業者と地域住民との間でトラブルが発生することもあり、社会的な問題も指摘されています。
タイ類
タイ類
マダイは日本周辺から東南アジアの沿岸にかけて分布し、西日本を中心に全国各地で、底曳き網や定置網、釣りなどで漁獲されます。マダイは放流も行われ、資源量は安定傾向にあるものの、東シナ海や日本海西部など、海域によっては過剰漁獲が懸念されており、科学的情報に基づく漁獲管理が必要です。また主な漁獲法である底曳き網による、海底環境や混獲への影響も懸念されます。
養殖も盛んで、四国・九州地方を中心に行われています。一般に、マダイ養殖は、卵を人工的にふ化させ育てるため、天然のマダイへの影響は少ないと考えられます。しかしながら、海で行う養殖全般に言えることですが、排泄物などによる海の汚染、餌の原料となる天然魚の割合、病害虫の拡散リスクなどに課題があります。
マダイは日本周辺から東南アジアの沿岸にかけて分布し、西日本を中心に全国各地で、底曳き網や定置網、釣りなどで漁獲されます。マダイは放流も行われ、資源量は安定傾向にあるものの、東シナ海や日本海西部など、海域によっては過剰漁獲が懸念されており、科学的情報に基づく漁獲管理が必要です。また主な漁獲法である底曳き網による、海底環境や混獲への影響も懸念されます。
養殖も盛んで、四国・九州地方を中心に行われています。一般に、マダイ養殖は、卵を人工的にふ化させ育てるため、天然のマダイへの影響は少ないと考えられます。しかしながら、海で行う養殖全般に言えることですが、排泄物などによる海の汚染、餌の原料となる天然魚の割合、病害虫の拡散リスクなどに課題があります。
タラ類
タラ類
マダラの資源量は、おおむね良好ですが、タラ類の主な漁獲方法である、底曳き網、刺し網は、生態系への悪影響が大きいため注意が必要です。具体的には底曳き網漁では海底を傷つけたり対象外の生物まで獲ってしまうリスク、刺し網漁ではイルカや海鳥など、漁の対象ではない生物の命を奪うリスクがあります。
同様に、スケトウダラについても、漁獲方法による生態系への悪影響に加え、日本海北部の資源量が著しく減少しているため、より一層の注意が必要です。
このような背景もあり、アラスカのスケトウダラ漁では、海底を傷つけること無く漁獲できる中層曳き網漁を採用し、MSC認証を取得しています。日本の漁業においても、適切な資源管理に加え、生態系への配慮をした漁法への転換が必要とされています。
マダラの資源量は、おおむね良好ですが、タラ類の主な漁獲方法である、底曳き網、刺し網は、生態系への悪影響が大きいため注意が必要です。具体的には底曳き網漁では海底を傷つけたり対象外の生物まで獲ってしまうリスク、刺し網漁ではイルカや海鳥など、漁の対象ではない生物の命を奪うリスクがあります。
同様に、スケトウダラについても、漁獲方法による生態系への悪影響に加え、日本海北部の資源量が著しく減少しているため、より一層の注意が必要です。
このような背景もあり、アラスカのスケトウダラ漁では、海底を傷つけること無く漁獲できる中層曳き網漁を採用し、MSC認証を取得しています。日本の漁業においても、適切な資源管理に加え、生態系への配慮をした漁法への転換が必要とされています。
ウナギ類
ウナギ類
シラスウナギ漁は、県の許可制によって管理されていますが、漁獲量のデータの精度は低く、適切に管理できているとはいえません。漁獲量は大幅な減少傾向にあるにもかかわらず、その需要が高いゆえ、「白いダイヤ」と呼ばれ高価格で取引されます。このため、密漁などのIUU漁業や密輸が横行しています。
養殖は昔ながらの池養殖から、成長を早めるために、水温管理や排水管理ができるビニールハウスや屋内施設での養殖が主流になっています。エサには魚粉にビタミンやミネラルを混ぜた配合飼料を用いますが、原料となる魚の原産地やサステナビリティの情報が少ないことが課題です。
シラスウナギ漁は、県の許可制によって管理されていますが、漁獲量のデータの精度は低く、適切に管理できているとはいえません。漁獲量は大幅な減少傾向にあるにもかかわらず、その需要が高いゆえ、「白いダイヤ」と呼ばれ高価格で取引されます。このため、密漁などのIUU漁業や密輸が横行しています。
養殖は昔ながらの池養殖から、成長を早めるために、水温管理や排水管理ができるビニールハウスや屋内施設での養殖が主流になっています。エサには魚粉にビタミンやミネラルを混ぜた配合飼料を用いますが、原料となる魚の原産地やサステナビリティの情報が少ないことが課題です。
エビ類
エビ類
世界的にも多くのエビを消費している日本ですが、約9割を輸入に頼っており、そのほとんどがブラックタイガーやバナメイなどの養殖ものです。東南アジアなどの沿岸域で養殖されており、養殖池を作るためのマングローブ林の伐採や、汚水による環境汚染などが問題となってきました。さらに現地加工場では児童労働などの社会問題も起きています。
一方、天然エビであるアマエビは日本、北欧、カナダなどで、近年人気のアルゼンチンアカエビはその名の通りアルゼンチン沖で漁獲されます。どちらも深い海に生息し底曳き網などで漁獲されるため、深海性のサメ・エイ類などの絶滅危惧種の混獲や海底環境への影響が懸念されています。日本のアマエビ漁では籠を用いた漁も行われており、比較的環境にやさしいと言えます。
世界的にも多くのエビを消費している日本ですが、約9割を輸入に頼っており、そのほとんどがブラックタイガーやバナメイなどの養殖ものです。東南アジアなどの沿岸域で養殖されており、養殖池を作るためのマングローブ林の伐採や、汚水による環境汚染などが問題となってきました。さらに現地加工場では児童労働などの社会問題も起きています。
一方、天然エビであるアマエビは日本、北欧、カナダなどで、近年人気のアルゼンチンアカエビはその名の通りアルゼンチン沖で漁獲されます。どちらも深い海に生息し底曳き網などで漁獲されるため、深海性のサメ・エイ類などの絶滅危惧種の混獲や海底環境への影響が懸念されています。日本のアマエビ漁では籠を用いた漁も行われており、比較的環境にやさしいと言えます。
カキ類
カキ類
マガキのほとんどが養殖で育てられています。夏に海中を漂うカキの幼生を、ホタテの貝殻に付着させ、養殖用の種貝として使います。
カキやアサリなどの二枚貝は海水中の有機物やプランクトンを餌にしています。そのため、魚の養殖のように餌やりをする必要がなく、また水を浄化する働きがあると言われています。自然環境にやさしい養殖のひとつですが、動物である以上、排泄物を出します。カキはロープや籠で海に吊り下げて育てる養殖方法が一般的ですが、そのため内湾などでたくさんの養殖施設を作ると、餌や酸素が十分に行き届かず成長不良となるだけでなく、海底も排泄物によって汚染されます。
カキ養殖も「過ぎたるは及ばざるが如し」なのです。
マガキのほとんどが養殖で育てられています。夏に海中を漂うカキの幼生を、ホタテの貝殻に付着させ、養殖用の種貝として使います。
カキやアサリなどの二枚貝は海水中の有機物やプランクトンを餌にしています。そのため、魚の養殖のように餌やりをする必要がなく、また水を浄化する働きがあると言われています。自然環境にやさしい養殖のひとつですが、動物である以上、排泄物を出します。カキはロープや籠で海に吊り下げて育てる養殖方法が一般的ですが、そのため内湾などでたくさんの養殖施設を作ると、餌や酸素が十分に行き届かず成長不良となるだけでなく、海底も排泄物によって汚染されます。
カキ養殖も「過ぎたるは及ばざるが如し」なのです。