最終会合INC-5において、各国が法的拘束力のある世界共通ルールに基づく野心的な国際プラスチック条約に合意することを求める


2024年11月25日から12月1日にかけて、韓国・釜山で、プラスチック汚染を根絶するための国際条約文書制定に向けた最終の第5回政府間交渉委員会 (INC-5) が開催される。

WWFの声明ポイントは以下の通り:

  • INC-5開催に際して議長から提示された条約案は、プラスチック汚染を根絶させるという目的には合致していない。各国政府には、最も緊急でインパクトの大きな管理措置に焦点を当てた、野心的な条約に合意するよう求める。
  • 野心的な条約とするためには、①有害なプラスチック製品や化学物質の国際的禁止、②削減・リユース・安全なリサイクルを確実に行うための製品設計の国際基準、③実行支援のための金融サポート、④継続的に条約を強化するメカニズム、という4点が必要だ。各国政府は、この4点を条約に含めなければならない。
  • 上記の点を、法的拘束力のある世界共通の措置として条約に含めることができなければ、世界はプラスチック汚染の急速な悪化に歯止めを掛けられなくなる。日本政府には、単に条約をまとめるのみならず、野心的な条約の合意に注力してほしい。

INC-5は、国際プラスチック条約文書をまとめるのに当たって最後の交渉機会となる、極めて重要な会合である。だがINC-5開催に際して議長から提示された条約案は、プラスチック汚染を根絶させるという目的には合致していない。
WWFは、各国政府に、最も緊急でインパクトの大きな管理措置に焦点を当てた、野心的な条約に合意するよう求める。具体的には、以下の4点を世界共通の義務的措置として条約に含めるよう、求める。

  1. 有害なプラスチック製品や懸念ある化学物質の禁止・段階的禁止
  2. 削減・リユース・安全なリサイクルを確実に行うための製品設計の国際基準と、サーキュラーエコノミーへの転換に必要なシステムの構築
  3. 全ての国が条約を効果的に実行するための、予測可能かつ適切、平等、アクセス可能な金融サポート
  4. 継続的に条約を強化するメカニズム

各国政府は2022年、第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)で、プラスチック汚染を根絶させるために法的拘束力のある国際枠組みを作ることに合意した。今回のINC-5で、法的拘束力のある具体的な管理措置として、上記の4点を含めることに合意できなければ、各国政府は、UNEA5.2での約束を果たしたとは言えない。また、実効的な対策が講じられなければ、プラスチック生産は増加し続け、2050年まで平均気温の上昇を1.5度未満に抑えるためのカーボンバジェットの21-30%を占めることとなる。問題のあるプラスチックの禁止や循環を可能とする製品設計を国際的に義務付けることを通じて、プラスチックの生産と消費を減らすことが、温暖化防止の観点からも求められる。

日本政府は、ライフサイクル全体での取り組みを通じてプラスチック汚染を防ぐべきであるとの立場で、そのための管理措置においては各国の事情を踏まえるべきだと主張している。しかし各国の事情を踏まえるあまり、管理措置の導入を各国の判断に任せてしまえば、たとえ条約を制定しても、汚染はさらに拡大していくこととなる。
ついては、日本政府には、野心を落として条約をまとめるのではなく、法的拘束力のある世界共通のルールに基づいた野心的な条約の合意に向けて働きかけていくことを求める。

以上

WWFインターナショナル 総裁 Kirsten Schuijtのコメント:

現在と将来の世代をプラスチック汚染や最も脆弱なコミュニティに不均衡に課される負担から守るためには、法的拘束力のある世界共通のルールが必要である。多くの政府や市民、企業が自主的なガイドラインに基づくものではなく法的拘束力のある国際条約を支持している。各国が最も緊急で重要な管理措置を優先すれば、問題の核心に迅速かつ実効性を持って対処できる条約にすることが可能だ。

WWFジャパン サーキュラーエコノミ―・マネージャー 三沢行弘のコメント:

既に大多数の国が野心的な条約を支持しているが、最終交渉の重大な機会となるINC-5ではその野心を法的拘束力のある管理措置として条約文書に落とし込まなければならない。たとえ全ての国に支持されたとしても自主的な措置に基づく条約ではプラスチック汚染を止めるには十分でない。むしろ、大多数の国に支持される法的拘束力のある世界共通ルールに基づく野心的な条約にすることが問題解決につながる。日本政府がそのような野心的な条約を支持することに期待する。

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