120の新種を確認!ボルネオでの発見続く


東南アジアのボルネオ島、その中心部にあたる「ハート・オブ・ボルネオ」と呼ばれる地域では、近年新種の発見が続いています。同地域は、WWFの呼びかけに応え、ブルネイ、インドネシア、マレーシアの3カ国が、2007年に「ハート・オブ・ボルネオ宣言」に署名し、保全していくことで合意した地域。WWFでは2010年4月22日、123種の新種についてレポートを公表するとともに、この地域の重要性をあらためて強調しました。

新種の発見が続くボルネオ

東南アジアの海に浮かぶ熱帯の島、ボルネオ島。この島で、近年発見された新種について、WWFは2010年4月22日、『Borneo's New World』というレポートを公表し、2007年2月以降に発見された、123の新種について報告しました。

新種の多くが見つかった場所は、ボルネオ島中央部の「ハート・オブ・ボルネオ」と呼ばれる、22万平方キロの地域で、主に熱帯林を中心とした、豊かな自然が広がっています。

この島に国土を持つ、ブルネイ、インドネシア、マレーシアの3カ国は、WWFの呼びかけに応え、2007年2月にこの地域を保全していくことで合意。「ハート・オブ・ボルネオ宣言」に署名しました。
WWFもまた、ハート・オブ・ボルネオ・プログラム(WWF Heart of Borneo Initiative)を立ち上げ、各国と密接に協調しながら、保全に力を注いでいます。

この、WWFボルネオ・プログラムのリーダーであるアダム・トマセックは、これまで月平均で、3種以上が見つかってきた同地域が保全されれば、さらなる発見も期待できる、としています。

新種の例

今回のレポートで公表された新種の内訳は、植物67種、無脊椎動物29種、魚類17種、カエル5種、ヘビ3種、トカゲ2種。このほかに、学名がつくのを待っている鳥類が1種あります。

ここの中には、たとえば体長4cmのナメクジがいます。
これはボルネオに固有のナメクジで、緑と黄色の体をしており、頭部の3倍の長さの尾を持つのが特徴です。長い尾を体に巻き付けて休む習性があります。

また、この科のナメクジは「恋矢」と呼ばれる突起物を伸ばして求愛するため、海外ではこれを忍者(ninja)に見立て、「忍者のようなナメクジ」というニックネームも付けられました。

また、2008年に発見されたナナフシは、現時点で世界最長の昆虫とされており、56.7cmもあります。
ボルネオ島は、もともと巨大な昆虫がいることで古くから知られていますが、今回は、これをさらに裏付ける昆虫が見つかったことになります。

ボルネオの今後

 ボルネオ島には、今回発見された新種はもちろんのこと、アジアゾウやオランウータン、ウンピョウ、スマトラサイといった、希少種をはじめ、熱帯の気候に適応した、多種多様な野生生物が生息しています。
世界でこの島でしか見られない固有種も、少なくありません。

しかし、この50年間の間に急激に進んだ森林伐採や、アブラヤシなどのプランテーション(植林)により、島ではかつての豊かさが広く損なわれてしまいました。

今も破壊が続く現状の中で、この島に国土を持つ、ブルネイ、インドネシア、マレーシアの3カ国政府は、ハート・オブ・ボルネオ宣言にしたがって、保護区を拡大し、エコツーリズムを発展させ、国境を越えた持続可能な管理をすることを約束しています。

これは、世界的にみても際立って豊かなボルネオの生物多様性と、そこから供給される、木材などの生態系サービスを保全する、重要な枠組みとなるものです。

今回のたくさんの新種発見によって、「ハート・オブ・ボルネオ」の保全に向けた取り組みに、いっそうの弾みがつくことが期待されます。

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皮膜を広げて「飛ぶ」能力を持ったカエルの一種
Rhacophorus penanorum

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1.5mになるヘビの一種(Dendrelaphis kopsteini

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長い尾を持つナメクジ(Ibycus rachelae)

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巨大なナナフシ(Phobaeticus chani)
現存する昆虫では世界最大とみられている。

英文レポートはこちら

Borneo's New World

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