ウナギ VS. ナマズ


ニホンウナギが、絶滅のおそれのある野生生物のリストに掲載された先月のことです。

朝、聞いていたラジオから「ナマズはウナギに負けないくらいおいしい」という話が聞こえてきました。

話の主は、近畿大学の農学部水産学科・有路昌彦准教授。

曰く、ナマズは養殖も簡単で、味もいい。脂が乗っていて、身がすごく柔らかくて、皮の辺りの弾力も申し分ない...などなど、かなりナマズ推しのご様子。

上はウナギ。下の絵は東南アジアに生息するナマズの仲間のグループで、育つと1mを超えるパンガシウス

さらに、ウナギが広く食されるようになった江戸時代中期までは、むしろ日本人にとってはナマズのほうが馴染みの魚だった、というお話もされていました。

確かに、ため池や用水路にすむナマズは、日本人にとって、とても身近な魚だっただろうと想像されます。

もちろん、ウナギの代わりにナマズを食べればいい、というほど、単純な話ではないのはわかっています。

でも、ウナギを食べ続けられるようにするためにも、しばらくの間は、消費量を抑えざるを得ない状況です。

パンガシウスは白身魚として需要が高く、養殖や輸出が盛ん。日本のスーパー「イオン」の店頭に並ぶASC認証のパンガシウス。

であれば、「伝統の食文化が廃れる」なんて嘆いていないで、ウナギより前からあった「ナマズ食文化」にトライしてみる、というのも悪くない考えだと思うのです。

折しも今年6月、環境に配慮して養殖されたことを証明する「ASC認証」を受けたベトナムのナマズが、日本でも発売となりました。

また、有路准教授によると、ナマズで地域おこしを図っている町もあるそうです。

今年の土用の丑の日は、本日、7月29日。ここはひとつ、ナマズとしゃれこんでみてはいかがでしょうか。(広報室・佐久間)

ナマズで地域おこしを図っている埼玉県吉川市にあるナマズの像

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マーケティング室(会報担当)
佐久間 浩子

WWFではずっと「伝える」ことに携わってきました。今は会報を担当しています。

なにごとも決めつけてはいけない。知ったつもりになるな。複雑なものを、複雑なまま受け止める覚悟を持て。想像力を磨き、ヒトの尺度を超える努力をせよーー動物や植物に教えられたことを胸に、人と自然の問題に向き合い続けたいと思います。

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