4月23日「マヌルネコの日」に
2023/04/23
標高4,000m、西ヒマラヤはハンレの集落近く。インダス川上流域の、なだらかな稜線の山々に囲まれた大草原と湿原の上。
ユキヒョウ保全プロジェクトの現場を訪れた道中、双眼鏡でアカアシシギの姿を追いかけていた私たちは、現地の方の言葉に飛び上がりました。
「ああいう岩場にマヌルネコがいるんだ」
指し示された先に見えたのは、ごつごつした岩の塊。それが、小さな半島のように平原の端に突き出ています。
おそらく岩質が異なるのでしょう、浸食された石灰岩の地形の中で、明らかに雰囲気の違う場所。そして、動物が隠れるには何とも都合の良さそうな地形です。
マヌルネコは、主に中央アジアの草原地帯に分布する野生動物で、大きさはイエネコと同じくらい。長い毛足とずんぐりした体形を持つ、独特な風貌で知られています。
絶滅危機種ではありませんが、ヒマラヤでは数が少なく情報も乏しいため、ここで名を聞くことになるとは、思いもよりませんでした。
しばらくの間、目を皿のようにして岩場を双眼鏡で見まわすも、姿を見ることはかなわず…
それでも、野生のマヌルネコが実際に生きる自然を、わずかながらも垣間見られたことは、忘れられない思い出になりました。
今日、4月23日は「マヌルネコの日」。マヌルネコのことを広く伝え、その保護を訴えるため、イギリスの保護団体が制定した記念日だそうです。
私たちが今、西ヒマラヤで支援している、ユキヒョウの生息環境を守る取り組みも、マヌルネコをはじめ、多くの野生生物を守ることにつながるもの。
この地のマヌルネコが姿を消すことなく、いつか出会うことができる日を迎えられるように、これからも取り組みを続けていきたいと思います。