ツリーハウスから、夜を徹してスマトラサイの行動調査!


スマトラサイの保護活動が進む、インドネシア・ボルネオ島のフィールドから、一枚の写真が届きました。

世界にわずか300頭といわれ、絶滅の恐れがきわめて高いスマトラサイ。ここ、ボルネオ島東カリマンタンの熱帯林は、そんなスマトラサイに残された数少ない生息地です。

写真は調査のひとコマだそうですが、どうやらツリーハウスを建てている模様。木の幹や葉を上手にくみあわせた、なかなか立派な!?ツリーハウスです。

ツリーハウスをたてるWWFインドネシアのスタッフ

夜により行動的になるといわれるスマトラサイを直接観察するために、ツリーハウスにスタッフが夜を徹して常駐する試みが行われています。

ですが、これまでのところ、スタッフがその目でスマトラサイを捉えることはできていません。

アフリカのサバンナに生きるクロサイやシロサイと違い、見通しのきかない熱帯林に生息するアジアのサイは、姿を確認することさえ難しく、その生態はいまだ多くが謎に包まれています。

例えば、どんなものをどのくらい食べているかについても、そう簡単にはわかりません。

完成したツリーハウス

1959年、スマトラサイを絶滅の危機から救おうと、インドとデンマーク、スイスの3つの動物園が、スマトラ島のシアク川流域でスマトラサイを捕獲し、飼育繁殖を試みたことがありました。

しかし、捕獲したサイに何を食べさせればよいか分からず、飼育に苦労したという記録が残っています。

適切な食物も分からずに繁殖などできるわけもなく、この試みは失敗してしまったそう。

熱帯林の動物のように、すむ環境が多様で、生存にかかわる生物が多いほど、その生態を知ることは困難です。

スマトラサイ

そして、謎が謎のまま、数を減らし、姿を消してしまうことがあります。スマトラサイは今、そんな危機にさらされているといえるでしょう。

WWFはこの現場で、サイの生息している森の植生や多様性、またサイの食痕からそのえさを細かく記録する調査も並行して進めています。

サイの生息に適した環境や食性などのデータをまとめることで、スマトラサイの国際的な保護活動に寄与するべく、活動を続けていきます。(広報室・増本)

2013年、この地域で20年ぶりに生息が確認されたスマトラサイ(ボルネオサイ)を捉えた貴重な映像。

この記事をシェアする

ブランドコミュニケーション室(ソーシャルモビライゼーション グループ長)
増本 香織

一橋大学社会学部卒、在学中にオーストラリアメルボルン大学に留学し環境学を専攻。在学中に国際保健系NGOでインターン、卒業後は国内オーガニック食材流通の草分け的なソーシャルビジネスでマーケティングを担当。2013年にWWFジャパン入局、広報部門でWeb・SNSの戦略的運用やキャンペーン業務、資金調達部門でのサポーターリレーション業務に従事し、2020年度より現職。ひとりでも多くの方が、地球や生きものたちのためにアクションを起こしたくなるような、気持ちが動くコミュニケーションを目指しています。森林インストラクター、薬膳インストラクター。

大学時代のインターンや前職を含め、ずっとNGOに携わっています。心から貢献したいと思える仕事に就けるありがたさを感じつつ、1歳と3歳の子育てにも奮闘中。上の子は「なんで?」「どうして?」真っ盛りの時期で、「お母さんはどんなお仕事をしているの?」「パンダのお世話?」と聞いてきます(笑)子どもたちの世代にどんな地球が残せるかは、今を担う私たちにかかっています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP