【第2部:100% 自然エネルギー編】 第5章 CO2排出量


脱炭素社会に向けた
エネルギーシナリオ提案

第5章 CO2排出量

WWFシナリオのCO2排出量をまとめると以下のようになった。

図5-1には、化石燃料別のCO2排出を示している。

図5-1 CO2排出量(2008~2050年)(100万トンCO2) graf5-1.jpg

BAUとの比較を示すと以下のようになる。

表5-1 CO2排出量のBAUとの比較(MTCO2)
CO2(MTCO2)199020082020203020402050
BAUシナリオ 1,059 1,168 1,067 946 829 712
WWFシナリオ 1,059 1,168 797 447 179 0
1990年比(%) 100.0 110.3 75.2 42.2 16.9 0.0

合計CO2排出量は、2008年には11億6800万トンCO2である。WWFシナリオでは2020年には7億9700万トンであり、1990年の10億5900万トンCO2に対しては、75.2%になる。1990年比では、2030年には42.2%に、2040年には16.9%に減少し、2050年には自然エネルギー100%になるため、CO2排出量はゼロになる。

ただし、鉄鋼業の石炭を水素で代替することに関して未知の点があるため、石炭利用が残り、全体として5%ほどCO2が残る可能性がある。

図5-2  CO2排出量のBAUとの比較(MTCO2)
graf5-2.jpg

なお、WWFシナリオを実現し、以上のようなCO2の削減を行うためには、以下の各項 が必要である。

  1. 高効率照明、断熱住宅、インバータ制御モータ、ヒートポンプ、TV会議、
    その他の効率向上技術の広範な普及を政策的に支援すること
  2. 太陽光発電、風力発電、小水力発電、地熱発電、バイオマス利用に対する
    固定価格買い取り制度、さらに関連する地域に根差した活動を支援すること
  3. ITと結びついた全国を一元化する送電網システムの建設。
    地域レベルでは、省エネルギー管理と自然エネルギーの供給・蓄電を結びつけるスマートグリッド。
    送電網と結びついたエネルギー需要管理システム、EV・FCV充電支援システムなどの建設を進展させること

(以上)

 

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目次

脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案 <第二部 100% 自然エネルギー>
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第1章 自然エネルギー
1.1 太陽光発電
1.2 風力発電
1.3 水力発電
1.4 地熱発電
1.5 太陽熱
1.6 バイオマス
1.7 水素/電力
1.8 自然エネルギーによる発電の最大規模
第2章 WWFシナリオのエネルギーの需要と供給
2.1 産業部門
2.2 家庭部門
2.3 業務部門
2.4 運輸部門
第3章 WWFシナリオのエネルギー供給構成
第4章 2050年の電力供給
4.1 気象データ
4.2 電力需要の月別・時刻別パターン
4.3 太陽光発電と風力発電の規模
4.4 電力貯蔵システム
4.5 電力のダイナミック・シミュレーション
第5章 CO2排出量
参考文献 参考文献 一覧(PDF)
参考資料 1)鉄鋼産業のエネルギー需要
2)地熱発電のポテンシャルに対する考え方
3)原子力発電の想定
4)太陽光発電と学習曲線
5)バイオマスの扱いについて
6)ダイナミック・シミュレーションの方法
7)電力貯蔵システムとバックアップ電力
8)自動車技術
9)燃料需要の詳細と供給構成
  • ※単位について
    1000TOE=1000トン石油換算、MTOE=百万トン石油換算、1TOE=11,630kWh
    本報告では最終用途エネルギーに注目して1次エネルギーは扱っていない。
    ただし、自然エネルギーからの電力を燃料に転換するときに生じる損失は供給構成に含めている。

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