イルカが教えてくれることイルカが教えてくれること

南米の海と、そこにすむ生きものたちを守るために、
ぜひご支援ください!

イルカのことを調べてみたら…

チリイルカを、知っていますか?
南米チリの沿岸にすむ、背びれの丸い、小さなイルカです。実は、世界に80種以上いるイルカ・クジラ類の中でも、特に生態がわかっていないイルカでもあります。チリ沿岸の生態系保全をめざすWWFは、2016年、チリイルカの調査を実施。

*この調査には、2016年の「命の海」キャンペーンにお寄せいただいたご寄付も活用されています

チリイルカの生息域

チリイルカ
Cephalorhynchus eutropia
ハラジロイルカとも呼ばれます

チリイルカの生息域

(上)チリイルカの調査。個体識別をして生息数を割り出すとともに、目撃された場所の深さや透明度、塩分濃度など、生息に適した環境についても調べている

(下)チリの沿岸

その結果、河口や入江などの沿岸域が、とても大切な生息域であることがわかりました。

さらに、そこには、養殖場や工場が広がり、漁網が仕掛けられている場合も少なくないことが明らかになったのです。

チリイルカの生息域

影響はイルカにとどまらず・・・

チリ南部の沿岸域には、氷河が削り出した複雑な地形が広がっています。波はおだやか、魚も豊富。だからこそ人も、イルカも、沿岸域が大事なのです。 ところが、人による利用ばかりが拡大し、イルカだけでなく、さまざまな野生生物に影響を及ぼしてしまっています。

チリイルカの生息域

漁網に絡まったマゼランペンギン

サカツラウの死因を調べる

サカツラウの死因を調べる

サケの養殖場で使われる化学薬品が、 海に流れ出したり…

発泡スチロールの浮きが細かく砕け、 海中を漂ったり…

海鳥たちの繁殖地に、観光客が入ってきたり…

人間にとられすぎて魚が減ってしまったり…

イルカやペンギンが、養殖場のネットや漁網に絡まって命を落とすことも。

アジアゾウ

チリイルカの向こうに、発泡スチロール製の浮きが見える

ペンギンたちの向こうにサケの養殖場が広がる

ペンギンたちの向こうにサケの養殖場が広がる

チリ沿岸にはサケ(サーモン)の養殖場がとても多い

チリ沿岸にはサケ(サーモン)の養殖場がとても多い

チリとペルー、そして日本へ

これは、チリだけで起きていることではありません。

チリの北側に位置するペルー沖は、海流の作用で、世界有数の漁場となっています。よく知られているのがアンチョビ漁です。 15年ほど前からは、アメリカオオアカイカ漁も急増。

アンチョビは、養殖魚のえさとして大量に捕獲され、世界中に輸出されています。アカイカは、公海で無制限に獲られているほか、ペルー沿岸では違法漁業も起きています。

アジアゾウ

特定の魚やイカを大量に獲りすぎたら、海の生態系は壊れてしまいます。 アンチョビを獲る網などに、ウミガメが絡まって、溺れてしまう混獲事故もあとを絶ちません。

そして・・・チリで養殖されたサケ(サーモン)も、ペルー沖で獲られたアカイカも、養殖魚用のえさに加工されたアンチョビも、日本に、たくさん輸入されています。

撤去した大量のくくり罠

アンチョビ漁の網に誤って掛かったアオウミガメ

南米の海と、そこにすむ生きものたちを守るために

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ご寄付の使いみちは・・・

1生きものたちの危機を調べる

1.生きものたちの危機を調べる

マゼランペンギンとチリイルカの生息調査を、範囲を広げて継続します。まだ確認されていない生息地も多く、早急に守るべき場所を明らかする必要があるためです。

2サケ養殖による悪影響を減らす

2.サケ養殖による悪影響を減らす

環境への配慮が求められる「ASC認証」を取得したサケ養殖場を増やしていくことによって、化学薬品などによる汚染や、養殖ネットに絡まる野生動物の死亡事故の防止を図ります。

3違法漁業をなくす

3.違法漁業をなくす

ペルーの漁業者と協力して、アメリカオオアカイカのトレーサビリティ(どこで、どうやって獲ったのかを追跡できるしくみ)を確立し、違法なものを市場からなくすことをめざします。

4ウミガメを混獲から救う

4.ウミガメを混獲から救う

漁業者を対象に、漁網に絡まったウミガメを安全に逃がす方法のトレーニングや、網にかからないようにする方法の開発や普及などを行なっていきます。

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南米の海を守る人たち

WWFチリ 海洋生物保全担当 ジャッキー

WWFチリ 海洋生物保全担当 ジャッキー

野生生物の保全は、私のライフワークです。チリイルカなどの固有種をはじめ、チリの海の多種多様な生きものの保全に携われていることは、私にとって本当に幸せなことです。私がWWFチリで海を守る活動に携わって以来、野生生物の保全の必要性を日々感じてきました。特に、チリ南部のパタゴニア地域への脅威が高まっていて、環境の変化を受けやすい海鳥や海棲哺乳類を中心に、海の生きものへの影響が心配されています。パタゴニア地域で見る自然は本当に素晴らしいものです。この自然とそこに生きる野生生物は、私たちが責任をもって守っていかなければなりません。生物多様性の宝庫であるこの場所の保全に向けて全力で取り組んでいきます。

ヤクパチャチリイルカ調査リーダー カイェターノ

ヤクパチャチ リイルカ調査リーダー カイェターノ

チリイルカの調査を応援していただき、ありがとうございます。私は10年間にわたり、チリ南部のパタゴニア地域で、チリイルカに関する調査とモニタリングに携わっています。皆さまのご支援のおかげで、初めて、チリイルカの推定個体数の調査を行なうことができています。「チリイルカは何頭生息しているのか?」この問いを明らかにすることは、環境の変化を受けやすいチリイルカの保全には欠かせません。様々な鯨類をはじめ、ミナミウミカワウソやオタリアなど、数多くの生きものにとっても重要な生息地を守るため、範囲を拡大し調査を続けていきます。

WWFペルー海洋保全プログラムオフィサーニコラス

WWFペルー 海洋保全プログラムオフィサー ニコラス

野生生物の保全は、私のライフワークです。チリイルカなどの固有種をはじめ、チリの海の多種多様な生きものの保全に携われていることは、私にとって本当に幸せなことです。私がWWFチリで海を守る活動に携わって以来、野生生物の保全の必要性を日々感じてきました。特に、チリ南部のパタゴニア地域への脅威が高まっていて、環境の変化を受けやすい海鳥や海棲哺乳類を中心に、海の生きものへの影響が心配されています。パタゴニア地域で見る自然は本当に素晴らしいものです。この自然とそこに生きる野生生物は、私たちが責任をもって守っていかなければなりません。生物多様性の宝庫であるこの場所の保全に向けて全力で取り組んでいきます。

WWFジャパン 川江

WWFジャパン 海洋水産グループ 吉田誠

南米チリの固有種チリイルカは、これまでほとんど調査が行われておらず、その生態や個体数は、はっきりと分かっていませんでした。そうした中、2016年よりチリ南部のチロエ島周辺の四か所で調査を行ない、合計で少なくとも、274個体が生息していることを明らかにすることができました。調査では、一日中海に出て行なう現場調査を1か所につき2週間前後かけて実施し、その後数か月にわたり、現場調査の結果から推定個体数を算出します。決して楽な作業ではありませんが、チリイルカをはじめとする野生生物を守りたいという強い想いをもち、現場ではスタッフが日々奮闘しています。豊かな生態系をもつ南米の海の保全を進めていくために、引き続きのご支援よろしくお願いします。

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