学校給食用の牛乳容器に「FSC®マーク」が登場!
2018/06/14
森を守るマーク「FSC」
世界では今でも、破壊的な森林伐採が続いています。
その大きな原因の一つが、木を原料とする「紙」を生産するための伐採です。
こうした森林の破壊は、利用する樹木をただ伐採するだけでなく、アカシアなど紙の原料になる樹種を、大規模に植林することでも引き起こされています。
生物多様性が豊かな自然の森を伐採し植林地に転換することは、貴重な野生生物の生息地を奪い、生態系を大きく損なうだけでなく、土地の利用権をめぐって地域住民の権利を侵害するなど、社会的な問題にもつながっていると報告されています。
そこでWWFは、紙や木材が森林環境や地域社会に配慮した「持続可能」な方法で生産されるよう活動を行なってきました。
樹木は生物ですから、その成長や再生のスピードと、利用する量や方法をきちんと管理して利用すれば、永続的に利用することができます。
多くの人にとって、毎日の暮らしに欠かせない身近な森林由来の製品、紙を、どうすれば持続可能な形で利用できるのか。
WWFでは、世界の森林が適切に管理され、消費者もそうした森林からつくられた製品を見分けることができる信頼できる仕組みとして、1994年、「FSC(Forest Stewardship Council ® :森林管理協議会)」による森林認証制度の発足を支援。
その普及に取り組んできました。
日々の給食を通じて楽しみながら
そうした中、WWFジャパンは2018年6月、日本国内でのFSCの認知の広がりをめざし、食品加工処理機器および紙容器の充填包装システムの大手サプライヤーである日本テトラパック株式会社と協働した新しい取り組みを開始しました。
日本テトラパック株式会社は、国内企業では先駆的にFSCの認証紙を自社製品に取り入れてきた企業の一つです。
今回の協力では、同社が学校給食用に供給しているFSCマーク入りの牛乳容器に掲載可能な、「FSCマークで森を守ろう」というテーマのイラストを開発。
その中で、WWFジャパンのキャラクター「コパンダ」が、FSCマークの意味を子どもたちにもわかりやすいよう紹介するものです。
給食の時間に容器を手に取る子どもたちが、楽しみながら「森を守るマーク」を学べるよう、3つのストーリーで構成されています。
自然と人に優しいを、子どもたちの当たり前に
WWFはこれまで、FSCの認知拡大を目指し、森林管理者や生産者、小売り・流通企業などさまざまな立場の企業との連携を重ねてきました。
ここ数年、FSCに積極的に取り組む企業も増え、FSCの認証マークのついた製品は増加しています。
これは、紙はもちろん、自然資源に関わるビジネスを手掛ける企業と、製品やサービスを手にする消費者、双方の間で環境に対する意識や関心が高まっていることの表れといえるでしょう。
しかし、今もインドネシアをはじめ、各地の森林破壊は止まっておらず、国内でのFSCの認知もまだまだ高いとはいえないのが現状です。
今回の日本テトラパック株式会社との協働を新たなきっかけに、環境や生き物に関心のある教育関係者や保護者、子どもたちとも理解や連携の輪を拡大すること。
そして、誰にとっても身近な紙製品を通じて「森を守るマーク(FSC)」の意味が広まることをWWFジャパンは期待しています。