子どもたちの自由研究をお手伝い!~読売KODOMO新聞合同レクチャー~
2017/09/28
2017年8月2日、WWFジャパンは読売KODOMO新聞が企画した「夏休み自由研究新聞」に協力しました。小学生の自由研究をサポートすることを目的とした企画で、WWFジャパンは研究テーマの提案として身近な魚介類を例に、水産資源に起きている危機や環境配慮の方法についてレクチャーを行いました。 読売KODOMO新聞の吉良さんからはレクチャーを自分の興味に合わせて壁新聞としてまとめる方法など、作成する段階で役立つご指導をいただきました。それぞれの得意分野を活かすことで子どもたちと自由研究への理解をより深めるための時間を共有できました。
海の資源には限りがある
いま、世界は水産物を獲りすぎており、将来世代が魚介類を食べられなくなる可能性があります。
世界の水産物の漁獲量は過去60年間に約5倍になり、一人当たりの消費量は2倍にものぼっています。
身近な水産物を例にすると、漁獲される天然マグロの7割が0歳の個体であり、産卵ができる3歳を迎えられない現状にあります。成熟前の個体がこれだけ漁獲されると、次世代の個体数が減少してしまいます。そのような状況で同じように漁獲を続けると、やがては絶滅に至る可能性があります。
こうした環境配慮のない漁獲が行われることで、次世代への命の循環が途切れるだけでなく、海の生態系にも影響が広がってしまいます。
水産資源には限りがあるという理解が、資源をいただく際の意識や行動の変化につながり、結果として将来にわたって魚を食べ続けられるようになるのです。
WWFジャパンはこうした理解を未来を担う子どもたちにしっかり持ってもらう必要があると考え、以下の企画に協力をしました。
子どもたちの自由研究のお手伝い
2017年8月2日、読売新聞社が発行する小学生向けの新聞である読売KODOMO新聞が、購読している小学生を対象に自由研究として、壁新聞の完成までをサポートしようと「夏休み自由研究新聞」をWWF 事務所にて実施しました。当日は15人の子どもたちが参加してくれました。
読売新聞社の記者である吉良敦岐さんは新聞にまとめるノウハウを、WWFジャパンの環境問題に対する専門性と合わせることで、それぞれの得意分野を活かした自由研究の総合的なサポートができると考えました。
そこでWWFジャパンのスタッフも環境教育の一環として、未来を担う子どもたちに水産物の現状について学んでもらおうと、今企画に協力し水産物についてのレクチャーを行いました。
WWFジャパンのレクチャーではまず、子どもたちに身近な水産物を取り上げたお寿司カードを1つ選んでもらいました。そしてそれぞれの水産物が、漁獲されることによる生態系への影響など、どの程度の環境負荷がかかりながら生産されているのかを示して、身近な水産物に危機が迫っていることを知ってもらいました。
中でも子どもたちに1番人気であり、被害が深刻でもあるマグロについては、その生態や漁獲による危機の原因について学んでもらいました。
子どもたちも普段から当たり前に食している魚介類であるからこそ、問題が身近に感じられた様子でとても熱心に聞いてくれました。
続いて読売KODOMO新聞の吉良さんから、レクチャーから得た自分なりの興味・テーマを壁新聞としてまとめる方法を、学年ごとに合わせた形で指導していただきました。
こうして自由研究に必要なテーマ設定から壁新聞作成までを一貫してサポートすることで、子どもたちからも「家に帰ってから自分でできそう!」という声をいただきました。
水産資源を守るためにできること
WWFジャパンのレクチャーの中では日常生活の中で何ができるのかについても子どもたちに伝えました。例えば、普段の買い物で認証エコラベルのついたシーフードを選ぶよう、気を付けることができます。
MSC認証とASC認証は、海洋の自然環境や水産資源を守って獲られたシーフードに与えられるエコラベルのことで、こうしたラベルのついた商品を消費者が選択することは世界の海洋保全につながります。
水産物輸入量世界第2位(2009年)となっている日本は、世界中の海の生命とつながって魚を食べていることを理解する必要があります。
その理解が子どもたちの水産資源に対する危機感、責任感を生み、保全行動へとつながっていけばと思います。
WWFジャパンとして、未来を担っていく子どもたちが、水産資源の問題についてまとめながら1つ1つの魚介類が‟海''を守っている自然の一員として、大切な役割を担っていることを理解するきっかけとなれば嬉しいです。
ご参加いただきました皆さま、企画を提供していただきました読売KODOMO新聞の吉良さま、本当にありがとうございました。