これが「最先端」の伝統的エビ養殖!
2012/02/24
水産担当の山内です。
インドネシアに行ってきました。場所はカリマンタンのタラカン。大小10あまりの河川が絡み合い、何千年もかけて形成されたミズゴケの湿地やマングローブからなる、独特な生態系のコンビネーション(?)が広がる場所です。
今回の目的地は、ここで行なわれている伝統的なエビ(ブラックタイガー)の養殖場です。
ここでの養殖は、10ヘクタール(東京ドーム約2個分)を超える池を使った、粗放養殖方法と呼ばれる伝統的なやり方で、小規模な漁業者が生産しています。
池自体は、人工的に作られたものではありますが、見た目の景観は自然の池そのもの。また、自然の潮の満ち引きに合わせて、魚や他のエビがこの池に出入りしたり、自然発生するプランクトンなどを餌として利用して行なわれ、エビをほぼ自然に近い環境で育てるのが特徴です。
エビの生産性は、集約型の人工的な養殖場とは違い、歩留まりが2割程度と、決して良くはありませんが、一尾一尾が大きく育つため、採算は十分とれているとのこと。
そして、このタラカンで生産されるエビの実に8割が、日本に輸出されています。日本には、このユニークな生態系の恵みであるブラックタイガーの一大消費国としての責任があるのです。
現在、WWFインドネシアでは、タラカンで生態系への影響をより低減させるような養殖業を推進する一方、地元の大手加工企業と協力して、過去にエビの養殖池を作るために伐採されたマングローブの再生にも取り組んでいます。
WWFジャパンでも今後、このタラカンでのブラックタイガー養殖が、将来的に環境に配慮した養殖を認証する「ASC認証」を取得できるように、日本企業とも連携をはかりつつ、支援していきたいと考えています。