SBTiによるスコープ3に関する発表を受けて
2024/04/16
気候変動対策には、グローバルなビジネス・コミュニティによる真の排出削減と、企業自身およびそのサプライチェーンの変革が必要です。そのためには、目標や指針が、入手可能な最善の科学、透明性がありかつ信頼できる報告、そして事業とサプライチェーン全体で1.5℃に沿った目標を実施するという企業の深いコミットメントに裏打ちされなければなりません。
SBTiの創設団体の一つとして、WWFは、認証制度、買い手企業の連合、環境属性認証書、そしてサプライヤーへの働きかけを通じて、多数のグローバル企業とともに、その事業とサプライチェーンの変革に取り組んできました。私たちは、パートナー企業が強い意志でこれらに取り組んでいることを認識しており、彼らのこれまでの投資や対策の進展を心強く感じています。同時に私たちは、気候危機の現実が要求するスピードで対策を進めるにあたって、スコープ3が課題となっていることを認識しています。基準と枠組みが健全な科学に基づいていることが、市場と顧客の信頼を維持しつつ、バリューチェーン全体で実効的な排出削減を推進するために肝要です。
オフセットは、企業の事業活動、製品、バリューチェーンからの排出削減の代替とはなりえません。今私たちが必要としている、企業による思い切った変革を促すために、WWFはかねてより、カーボン・オフセットの活用を残余排出量のごく一部に限定し、説明責任を強化し、さらに、包括的かつ科学的に設定された排出経路の一部として位置づけられるべきと主張してきました。
複雑なバリューチェーンを持つ企業は、スコープ3に関するガイダンスの更新を切実に必要としており、排出削減を最も優先した、実行可能で解決志向のメカニズムを提示する必要があります。SBTiは、7月を公表予定時期として、市場メカニズム利用のための限定条件を定義していきますが、WWFは、SBTiの取り組み全体を支えるために、厳密な科学と優れたガバナンスを引き続き求めていきます。今後のガイダンスの更新は、実質的な排出削減推進や市場変革推進について、オフセット制度の実績が期待外れであったことに関する本質的かつ実際の懸念にも対処しなければなりません。
WWFは、SBTiが気候に関する目標設定、報告、および実行に関する最も重要な基準であり続ける上で要となる、厳密な科学に基づく基準およびガイダンス策定を支持します。WWFの長年にわたる基準設定に関する深い専門知識に基づき、私たちは、いかなる基準設定機関も、効果的かつ信頼に足るものとして機能するためには、専門的レビューとパブリック・コンサルテーションが核となる部分を形成するべきとの見地に立ち、透明性があり、かつ参加型のガバナンスを促進することを常に目指します。