WWFサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」の譲渡について
2021/03/27
WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)は、このたび沖縄県石垣市白保地区に所有する、WWFサンゴ礁保護研究センター、通称「しらほサンゴ村」(沖縄県石垣市字白保118)を、地域自治組織の白保公民館に譲渡することにいたしました。
譲渡式は、2021年3月27日に石垣市白保地区にて行なわれ、同年4月からの所有者は正式に白保公民館となり、白保サンゴ礁の保全等の活動は、段階的にNPO法人・夏花が引き継いでいきます。
WWFジャパンは、1970年代に世界有数の豊かさを誇る白保のサンゴ礁を埋め立てる形で計画された、新石垣空港の建設問題を契機に、サンゴ礁生態系の保全に取り組む活動の拠点として、日本中の多くの方々から寄せられた募金・寄付金により、2000年に「しらほサンゴ村」を開設。その後、白保をはじめとした南西諸島各地のサンゴ礁や陸域生態系を保全する活動を展開してきました。
特に白保においては、サンゴ礁の調査活動や、サンゴ礁を脅かす赤土の流出防止対策とその影響把握のための長期的なモニタリング調査、そして白保小学校、中学校とのサンゴ学習やシュノーケル観察会といった活動を実施。
また、地域が主体となったサンゴ礁保全の取り組みを促進するべく、地域住民のみなさまや関係機関とともに「白保魚湧く海保全協議会」を立ち上げ、伝統的な漁具「海垣」の復元、「世界海垣サミット」の開催といった、豊かなサンゴ礁生態系と文化の保全を目指す取り組みも、支援・展開させていただきました。
2013年に、「白保村ゆらてぃく憲章」に基づき、白保集落の伝統文化や自然環境の保全に取り組む、地元のNPO法人「夏花(なつぱな)」が発足したことを機に、環境モニタリング調査をはじめとするWWFがそれまで実施してきた活動を、段階的に引継いできました。
そして、より地域が中心となったサンゴ礁の保全を進めていくための検討を重ね、活動を地域に移譲できる準備が整ったと判断し、WWFジャパンの理事会の承認のもと、このたび「しらほサンゴ村」の施設を白保公民館に譲渡することを決定いたしました。
「しらほサンゴ村」の設立から20年。WWFジャパンとしてのプロジェクトが完了したとしても、地域での保全活動が継続されていくことは、WWFが世界各地の保全の現場で志向している在り方に一致するものです。今回の施設の移譲によって新たな保全活動の一歩が踏み出されたことを示すものといえるでしょう。
なお、WWFジャパンは施設譲渡後も現地での活動が継続されるよう、今後も複数年にわたり白保での活動を継続する予定です。そして「しらほサンゴ村」が、白保公民館や夏花をはじめとする地域住民の方々の交流やサンゴ礁保全活動の拠点として、よりよい形で活用いただけるよう、協力を続けてゆきます。
白保での30年以上にわたるWWFジャパンの活動は、地域の皆さまのご協力、そして、サンゴ礁の海を守りたいと願う、日本中の多くの皆さまからのご支援により支えられ、実現してきました。
この場をお借りして、これまで「しらほサンゴ村」にかかわって下さった、全ての皆さまに、心からの感謝を申し上げます。
WWFジャパンでは今後も、白保をはじめ南西諸島の貴重な自然を守る取り組みを継続し、このウェブサイトをはじめとする場で、その成果を皆さまにお伝えしていく所存です。
今後とも、WWFの取り組みに、ご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。