法人セミナー「企業価値を高めるCSR~金融による企業評価の変貌」開催報告
2010/12/22
社会的な問題はビジネス化の宝の山
日本の「CSR元年」といわれる2003年から7年が経過しましたが、今もなお、CSRという言葉の定義はあいまいで、残念ながら、単に企業の宣伝として使われているケースも多いのが実情です。
一方、2006年に国連主導で責任投資原則(PRI)が合意され、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)の視点への考慮が求められるようになったこと等を契機として、近年、海外を中心に、ESGの側面を投資意思決定の際に考慮する機関投資家が急増しています。そのため、先進国だけでなく、途上国とりわけ新興国でのCSRの潮流・感覚は明らかに変わってきており、日本とのギャップをどう埋めていくかは、日本が抱える大きな課題であると言えます。
2010年9月9日、CSRのスペシャリストである日本総合研究所の足達英一郎氏を講師にお招きし、『企業価値を高めるCSR ~金融による企業評価の変貌~』と題する法人会員限定セミナーを開催しました。当日は、CSRと企業価値の関係、ESG投資について、などの点につき、実例や最新動向も交えながら語っていただきました。
中でも、「社会的な問題というのは実はビジネス化の宝の山である」「社会に対する感度の高い企業はイノベーションを起こすことが出来る。そのため企業価値にも大きな影響を与えることが出来るのではないか」といった仮説などに、CSR部門を中心とする各企業担当者が耳を傾けました。
WWFジャパン 法人会員向けセミナー開催概要
企業価値を高めるCSR~金融による企業評価の変貌
開催日時:2010年9月9日(木) 16:20~18:30 / 講師:足達英一郎 氏
講演の冒頭はこちら
ご出席者の感想
当日ご出席された、法人会員各社の参加者の皆さまより、以下のようなご感想をお寄せいただきました。
テーマについて
- CSRがどのように企業価値に影響を与えるか、興味のあるテーマだった。(出席者多数)
- 企業価値とCSRは常に課題であり、そのものズバリの内容だったので興味があった。(M社)
内容について
- 金融面からのお話はとてもわかりやすく、今後どのような所に着目していけば良いか、いろいろヒントをいただいた。(C社)
- 非財務的な企業価値を語ることが多かったが、マーケットの視点でのお話を伺い、大変勉強になった。社内での説明にも必要な視点だと思った。(F社)
- "金融"という点からCSRはどうみられているか、いろいろと話は伝え聞いていても自分自身が身近に現場にいる方から話を聞いたことがなかったので、非常に納得しながら聞くことができた。(F社)
- 日本におけるSRI、ESG投資の方向性について、とても示唆的で勉強になった。(M社)
講師:足達英一郎氏 プロフィール
1986年一橋大学経済学部卒業後、1990年株式会社日本総合研究所入社。経営戦略研究部、技術研究部を経て、現在、ESGリサーチセンター長。環境問題対策を中心とした企業の社会的責任の視点からの産業調査、企業評価を担当。金融機関に対し社会的責任投資のための企業情報を提供。日本規格協会ISO/SR国内委員会委員 (ISO26000作業部会日本エクスパート)
<主な著書>
『図解 企業のための環境問題』(1999年、東洋経済新報社)、『SRI社会的責任投資入門』(2003年、日本経済新聞社)、『CSR経営と SRI』(2004年、きんざい)、『地球温暖化で伸びるビジネス』(2007年、東洋経済新報社)、「環境経営入門」(2009年、日本経済新聞出版社)等。