キリングループ 「持続可能な生物資源の調達ガイドライン」を公表
2013/03/05
2013年3月5日、キリングループは、WWFジャパン、レインフォレスト・アライアンスとの協働のもと、紙製品やパーム油といった同社の事業に関連する自然資源に由来する産品について「持続可能な生物資源の調達ガイドライン」と行動計画を定め、公表しました。環境や社会に配慮した企業として、複数の産品について「責任ある調達」を行なうこと定めたガイドラインは、WWFの推進する自然資源の持続可能な利用を社会全体で実践してゆく上でも、大きな一歩となります。
原料や製品を調達する企業として「責任ある調達」を
今回策定された「キリングループ持続可能な生物資源調達ガイドライン」で対象とされている、紙製品、パーム油は、森林資源、とりわけ生物多様性豊かな熱帯林との関わりの深い産品です。
世界的な流れとしては、森林資源の適切な管理や利用を目指す、FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)や、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパーム油のための円卓会議)などの、信頼できる認証制度の普及が進み、認証製品も市場に流通するようになっています。
しかしその一方で、地域によっては現在も、違法であったり、もしくは生産国の法律で合法であっても環境や社会に十分な配慮がないまま、農園や植林地が造られている事例も報告されていることから、市場には、十分な配慮のもとに調達された原料や製品と、そうではない環境を破壊して生産された製品の双方が、混在していると言えます。
この意味で、今回のキリングループのように、明確なガイドラインや行動計画をもって、信頼できる認証制度の積極的な利用や、持続可能性の確認が調達の条件であることを表明することは、「責任ある調達」が拡大していくことにつながります。
自然資源の持続可能な利用の拡大を目指して
生物多様性とそこから生み出される生態系サービス、そしてそれを利用し、影響も与えうる企業や消費者。日本においては、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(CBD・COP10)が、一つのきっかけとなり、国内でも多くの企業が、ビジネスとその基盤ともいえる生物多様性との関わりに、関心を寄せるようになりました。
全体としては、まだまだ認知も実質的な取り組みも限られており、十分とは言えないのが現状ですが、生物多様性に配慮しようという動きは、確実に広がりを見せています。
また、そうした企業が増えることにより、最終的に商品を購入する消費者側にとっても、環境や社会に配慮した製品の選択が可能となる機会も多くなり、自然資源の持続可能な利用が、社会全体に広まります。
WWFは、責任ある生産、調達をめざす企業への支援を行うとともに、消費者に対しても、認証制度や環境に配慮した製品が積極的に利用されるよう活動を継続します。