「かわいい」の先の境界線

©J.J. Huckin / WWF-US
©WWF-Myanmar

Wildlife

野生に生きる者たち。
その姿は、私たちを魅了してやみません。
美しい。
かっこいい。
ふしぎ。
かわいい・・・
野生動物に心を向けることは、
彼らを守ることにもつながっていきます。

ただ・・・それが
「飼いたい」になると、
状況は一変。

「かわいい」の先にある境界線。

どれほど魅力的であっても、
越えてはならない一線があるのです。

©Andrew Parkinson / WWF-UK
©Mikaail Kavanagh / WWF

野生動物のペット利用には、


どんな問題があるの?

絶滅の危機を加速するリスク

絶滅危惧種はもちろん、
今の時点ではそれほど絶滅のおそれが
高くない動物も、ペットとして人気が高まり、
野生からの捕獲が増えれば、
危機が加速するおそれがあります。
近年、日本への輸入が増えているスナネコも、
多くが野生から捕獲されており、
その影響が心配されています。

スナネコの写真

© WWF Japan

密猟や密輸につながるリスク

捕獲や輸出が規制されている動物が、
ペット利用を目的とした密猟・密輸の
ターゲットになることがあります。
実際に、ツリーモニタ―などの
希少な爬虫類をはじめ、
小型のサル、フクロウ、カメ、カエルなど、
多種多様な野生動物が、日本に密輸されています。

希少な爬虫類の写真

© WWF / Lutz Obelgonner

動物由来感染症のリスク

人間にとってのリスクもあります。
野生動物は 「動物由来感染症(動物から人に感染する病気)」の病原体を保有している可能性があるためです。
新型コロナウイルス感染症も、野生のコウモリが持つ病原体が、何らかの変異を経て人に感染するようになったと考えられています。

エキゾチックペットの写真

© Brent Stirton / Getty Images / WWF

外来生物を発生させるリスク

ペット目的で輸入された野生動物が、
逃げ出したり、捨てられたりして、
外来生物となってしまう悲劇も起きています。
北アメリカ原産のグリーンアノールは、
小笠原諸島や沖縄島で繁殖。
特に小笠原では、固有種のトンボやセミ、チョウなどを絶滅に近い状態まで追い込んでしまっています。

希少な爬虫類の写真

©Elizabeth Henderson

動物福祉を満たせないリスク

野生動物は、その生態や行動特性から、
一般家庭やアニマルカフェなどでの飼育で
精神的・肉体的に大きなストレスを受けている場合があります。
行動の自由や、適した気温・湿度が
確保されないといったことの他、
夜行性の動物は昼間の光や電灯の明かりで
目に負担がかかるなどの問題も。

フェネックの写真

©John E. Newby / WWF

WWFはどんな取り組みを
行なっているの?

過剰利用や密猟の
実態を調査する

ペット利用を目的とした野生動物の取引(売り買いなど)について調査を重ね、過剰利用や密輸などの実態を探るとともに、飼育に関心を持つ人々の意識調査も行ない、問題の解決に向けて必要となる対策を検討・実施しています。

法律による
規制を強化する

法律の面から、ペット目的の密猟や密輸を防ぐしくみの導入や、飼育規制の厳格化などを求めていきます。併せて、国会議員や関係省庁に、野生動物のペット利用に伴うリスクに関する情報提供を行ない、問題への認識を高めます。

「飼いたい」人の
気持ちを変える

キャンペーンなどを通して、野生動物のペット利用は動物にも人間にもリスクがあることを伝え、その見直しを呼びかけています。どんなに規制を強化しても、欲しがる人がいれば、過剰な利用や密猟・密輸はなくならないからです。

メディアの発信に
改善を求める

「かわいい」ばかりを強調し、野生動物のペット飼育に伴うリスクについて触れないような発信は、いたずらに飼いたい気持ちを高め、結果的に動物も人間も危険にさらすおそれにつながることを指摘し、改善を求めていきます。

ショップやカフェに
改善を求める

ペットの小売企業に対して、扱う動物が、野生の個体群や原産地の環境に悪影響を与えずに調達されたか確認すること、サプライチェーンにおける合法性とトレーサビリティを確立することなどを求めていきます。

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あなたの力を貸してください。

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WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

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