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目撃者の証言:サンゴ礁の海と天候が変わる
オセアニア(オーストラリア):トニー・フォンテスさん
グレート・バリア・リーフの中央、ウィットサンデー諸島の町に住む、トニー・フォンテスさんは、ベテランのダイビング・インストラクター。30年にわたり、このサンゴ礁の海と、押し寄せる変化を見てきました。フォンテスさんは、年々深刻になる海の危機を、訴えています。
グレート・バリア・リーフからの証言
こんにちは、私の名前はトニー・フォンテスといいます。オーストラリア、クイーンズランド州ウィットサンデー諸島のアーリービーチという町に住んでいます。アーリービーチは、グレート・バリア・リーフの中央部の海辺あります。ご存知の通り、この地域の主な産業は観光です。 私は世界最大のスキューバ・ダイビング教育機関PADI(Professional Association of Diving Instructors:潜水指導員協会)のインストラクターで、PADIのダイブマスターやインストラクターなど、上級者に向けたレジャーダイビングの訓練を専門に教えています。

トニー・フォンテスさん
(C)Project AWARE
30年のダイビング経験で気づいた海の変化
私は30年にわたって、ウィットサンデー諸島に住み、ダイビング・インストラクターの仕事をしてきました。多くの時間を海の中で過ごし、ダイビングの訓練や、海洋公園でのボランティア・ダイビングに携わり、余暇でもダイビングを楽しんでいます。
ダイビングの訓練では、他のダイバーたちに、どうすれば上手に海洋環境を観察できるかを教えています。また、海洋公園でのボランティアダイブでは、海の環境の状態について、情報も収集しています。私は大抵の場合、同じ場所で繰り返し海に潜ってきました。そして、地元の他のダイバーたちが観察したことに加え、自分自身でも、気候変動が引き起こしていると思われる、環境の変化に気がつきました。


グレート・バリア・リーフ。オーストラリア大陸の北東部に、南北2,000キロにわたって広がる。
かつては珍しかったサンゴの白化が...
最も注目すべき変化は、毎年夏の間に白化するサンゴが増加していることです。1980年代初めの頃、サンゴの白化現象は、まず見られませんでした。たとえあったとしても、稀なことでした。
ところが、1990年代半ばになると、私たちダイバーは、夏が来るごとに、白化したサンゴを目にするようになりました。白化したサンゴが辺りに広がるのを見ると驚きを覚えます。一般的なサンゴの色は、緑や茶色なので、白化したサンゴが見せる、輝くような白や、明るいパステル調の色彩は、実際非常に美しいのです。
そして、1990年代後半と2000年初頭に、とりわけ大きな規模で、サンゴの白化現象が起きました。この時は、白化したサンゴを、空から見ることさえできました。かつては無かった、このような広範囲の白化現象は、サンゴの大量死滅を招きました。死んだサンゴの白い色は、すぐに茶色い藻類に覆われてしまいました。これは、サンゴ礁で生息する生物の多様性が、失われてしまうことを物語っています。
また、サンゴの白化が進んだことで、ダイビングやシュノーケルの人気スポットは、すっかり評判が落ちしてしまいました。サンゴ礁が完全に回復するまでには10年かかります。しかし、規模はさまざまながら、白化現象は毎年起きています。私は、サンゴ礁は永遠に回復しないのではないかと思っています。
絵はがきのように美しいサンゴ礁が見られなければ、多くの観光客はがっかりして、二度と訪れることはないでしょう。これは、観光に依存している地域にとっては、厳しい現実です。


フォンテスさんは、ダイバーによる海中の清掃活動やサンゴ礁の調査を実施する、AWARE財団の理事も務めています。
異常気象の激化
私はこの30年間の天候の変化にも気づいていました。
ばらつきはありますが、雨季の間の雨量が減っているのです。私の記憶では初めてのことだと思いますが、2006年と2007年には、2年間にわたって給水制限が行なわれました。
沿岸部を襲うサイクロンの数は減っていますが、威力は増しているようです。
夏の間の豪雨などが、回数が減っている一方、いざ悪天候になると、その激しさが増しているようなのです。
本来、夏はサイクロンに備えなければならない時期です。しかし、回数が減り、脅威をあまり感じなくなったためか、人々はのん気に構えるようになりました。ところが、2008年は、夜通し続くスコール(熱帯性の強い雨)があり、アーリービーチに係留されていた28隻のボートが沈んだり、損傷するなどの被害を受けました。
同じように、夏の激しい豪雨は、きちんと浸食対策が施されていない多くの場所で、開発業者にも被害をもたらしています。ウィットサンデー諸島地域のキャッチフレーズは、「青い海に浮かぶ74の島」ですが、2008年は、「茶色い海に浮かぶ74の島」の方が、適確な表現となりました。雨季が終わったあとの4週間もの間、激しかった雨の影響で、海岸沿いの海は、泥で茶色く濁っていたからです。
行動を起こす
私は、個人的な経験から、気候変動、特に地球温暖化が、グレート・バリア・リーフに破壊的で甚大な影響を、すでに与えていることを知っています。そして広い視野で見るなら、地球全体で、私たちはすぐにもCO2排出を減らす必要があります。明日ではなく、「今」です。世界のサンゴ礁を救うためには、今後予想されている2~3度の海水温度の上昇をくいとめる必要があるのです。
また、私たちは、より地域的視点に立って、グレート・バリア・リーフへの影響を減らす努力もしなくてはなりません。これには、サンゴ礁の海の水質改善なども含まれるでしょう。もちろん、オーストラリアが先頭に立って行動する必要があると思います。
温暖化が進めば、結果的に私たちは他の国々と同じような被害や影響を受けることになるでしょう。しかし、もしかすると、それ以上のもの、この国にしかないものをも、失うかもしれません。将来、私たちがどのようにグレート・バリア・リーフを失ってしまったのかを、子どもたちに説明しなければならないのは、つらいことです。
WWFインターナショナル/ホームページ
掲載日:2008年5月26日
Climate Witness:Tony Fontes, Australia
科学的根拠
オブ・ホー・グルベル氏(Ove Hoegh-Guldberg) オーストラリア・クイーンズランド大学海洋研究所所長兼教授
残念なことですが、フォンテスさんの観察は、グレート・バリア・リーフ地域における広範囲の環境変化について述べられている科学的研究と全て一致しています。ウィットサンデー諸島はグレート・バリア・リーフの美しい島々ですが、過去数十年間で著しく変化しました。それは、海水温度の上昇(サンゴの白化の原因となる)や、パイオニア河(the Pioneer River)での農業、降雨パターンの変化や嵐の激化、そしてそれらの影響でクイーンズランド州の海岸線沿いの水質が変化したことによるものです。地球規模および地域レベルの両方の環境負荷でこの地域のサンゴが徐々に消滅し始めています。
サンゴは、この地域の海の生態系の中心であり、無数の生物の生息地となっています。そしてこのことは、サンゴ礁に欠かせないことです。フォンテスさんが言うように、地球規模の気候変動に対して行動を起こし、温室効果ガスの排出を迅速に削減する必要があります。私たちはグレート・バリア・リーフに流れ込んでいる河川流域にある土地をどのように使用しているかを調査する必要もあります。オーストラリアの東海岸沿いの気候が乾燥し続け、サイクロンのような激しい嵐が突発的で激しくなっているので、土壌と栄養素を保持するためにこれらの集水域の能力を最大限に生かす必要があります。
これには、農業従事者に耕地の侵食対策や利用法について取り組むことを促すとともに、川と河川敷近くの森林の再生が必要です。これは内陸部の土地にとって良いだけでなく、グレート・バリア・リーフの世界遺産登録地の海岸に生息するサンゴ礁の将来にとってもとても重大なことです。
全ての記事は「温暖化の目撃者・科学的根拠諮問委員会」の科学者によって審査されています。
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公開日:2008/05/26
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