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目撃者の証言:沈み行くふるさとの島々
オセアニア(キリバスとミクロネシア):ベン・ナマキンさん
ベン・ナマキンさんは現在ミクロネシア連邦(FSM)のポンペイに住み、ポンペイ自然保護協会で環境教育の仕事をしています。ナマキンさんはミクロネシアやキリバスなど、大洋に浮かぶ島々の国が、深刻な海面の上昇にさらされ、沿岸にある地域社会がその影響を受ける現場をその目で見てきた目撃者の一人です。
南太平洋の島からの証言
私の名前はベン・ナマキンといいます。キリバス出身ですが今はミクロネシア連邦(FSM)のポンペイに住んでいます。ポンペイは、以前はポナペと呼ばれていました。私はこの町で、島唯一の環境NGOであるポンペイ自然保護協会(CSP)に所属し、環境教育担当として働いています。
私がCSPで実施した「ザ・グリーン・ロード・ショー(The Green Road Show)」は今ではとても有名になりました。これは小学生から高校生、大学生、そして地域の人々に、地球温暖化を含めた多くの問題について学んでもらう、対話式のとても楽しい環境教育の実践方法です。

ベン・ナマキンさん
(C)Ben Namakin
潮と嵐がおびやかす島の生活
キリバスでの子ども時代、私は海水による深刻な洪水を、経験したことがありませんでした。嵐もありましたが、それほど激しいものではありませんでした。
しかし、海水面が上昇するにつれ、島は激流に襲われるようになりました。浸入した海水は、井戸の水質を変え、タロイモ畑や庭を覆い、キリバスの暮らしや文化にとって欠かせない植物にも悪影響を与えています。
その一例は、アダンの木です。アダンは私たちにはとても大切なもので、家の建材や薬、食物、伝統的衣服などに使われています。しかしこの木が、海水の浸入によって姿を消そうとしているのです。激しい嵐は沿岸を浸食し、墓地も水浸しにし、2006年には美しいダイ・ニッポン・コーズウェイ(島と島を結ぶ橋)を崩壊させました。
この被害は、島の人々に莫大な出費を強いることになりました。人々は自分たちで、お金を工面して家を建てたり、親族の遺骨を墓から掘り出して、内陸の方に埋葬し直さなければなりませんでした。

海岸の浸食で枯師したアダンの木
(C)Environment and Conservation Department, Government of Kiribati

崩壊する「ダイ・ニッポン・コーズウェイ」
(C)Kaburee Yeeting
壊れた島
2001年頃、ポンペイで高等学校の卒業試験の勉強中だった私は、学校から数マイル離れた環礁にある、デケーティクという小さな島に、よく友だちと息抜きに行っていました。そこはキャンプ、ピクニック、スノーケリングができる、私の大好きな場所でした。
ところが驚いたことに、2005年に、このデケーティク島は二つに割れてしまったのです。
私は自分の目で確かめてみようと島に出かけ、海水の浸食によってひどく破壊されたその惨状を目撃しました。島の住民や土地の所有者たちが、このような予期せぬ災害に襲われたのを見るのは、とても悲しいことでした。
また、ポンペイのソケズ地区にある沿岸地域を訪ねた時、満潮時に家に入ってくる海水を防ぐため、たくさんの住人たちが高い土台の上に家を建てていることを知りました。
この人々は同時に、大雨の浸水を防ぐために家の前に塀も建てていました。そのうちの一人は、このような変化は過去には無かったが、この5年ほどの間に起きるようになった、といっています。

1995年のデケーティク島

2002年のデケーティク島。左側の半島が浸食によって切り離されている。
(C)The Nature Conservancy Micronesia Field Office
発信すること
地球温暖化がもたらす気候変動によって、市民の経済的、社会的、文化的権利がおびやかされている。この事実は、私の気持ちを奮い立たせました。国のために立ち上がり、我々の権利のために闘い、地球温暖化を食い止めるため、今何かをしなければならない。そのことを、多くの人に知らせる活動を、しなくてはならないと考えています。
私は2005年、気候変動に関する国連会議の期間中に行なわれた、ユース・サミットに参加しました。1万人が集まる総会で「我々の気候、我々の挑戦、我々の将来」というテーマで若者のメッセージを伝えました。
そして、2006年にはアメリカ合衆国を横断する気候変動ツアーに参加しました。セミナーを通じて、私は学生たちに地球温暖化を防ぐ運動に参加するよう勧めました。さらに、アメリカのリーダーたちに対し、クリーン・エネルギーに関するアメリカ合衆国の方針を改善すること、気候変動に対応すること、京都議定書を批准すること、そして最も重要なこととして、太平洋の島々に住む人々に、悪い影響を与えないような決定を下すよう、働きかけました。
WWFインターナショナル/ホームページ掲載日:2007年5月7日
Climate Witness:Ben Namakin, Kiribati and Micronesia
科学的根拠
パトリック・ナン教授 サウス・パシフィック大学(フィジー)環境および持続可能開発研究所(PACE-SD)
ナマキンさんは、太平洋の島々で起こっていることを敏感に感じとっている目撃者の1人です。海面は間違いなく上昇しており、しかもその作用は毎年徐々にというのではなく、不規則に生じています。熱帯低気圧に伴って生じると考えられている、暴風雨などの異常気象は増加しており、ベンが説明しているような環境の変化に大きな要因となっています。
私たちの島の環境は脆弱で、地質学的に変形しやすくもあります。3,000年前、キリバス(バナバ島以外)やツバルには、人の住めるような土地はありませんでした。しかし、海面が低下すると固形物の集合体ができ始め、島々を形成するような土台ができたのです。今日、海面は上昇しており、したがって海面低下によって造り出された島々が海面上昇によって消失してしまうということは驚くべきことではありません。
太平洋の多くの島々の地形が現在に比べて21世紀が終わるころにはがらりと変わっていることはほぼ間違いないでしょう。ナマキンさんは海面の上昇がキリバスの文化に与える影響を説明しています。この現実から逃避することはできません。したがって、太平洋の島々の島民たちは、これらの変化に適応する方法を探す必要があるのです。
Nunn, P.D. and Mimura, N. 2007. Promoting sustainability on vulnerable island coasts: a case study of the smaller Pacific Islands. In: McFadden, L., Nicholls, R.J. and Penning-Rowsell, E. (eds). Managing Coastal Vulnerability. Amsterdam: Elsevier, pp. 193-221.
全ての記事は「温暖化の目撃者・科学的根拠諮問委員会」の科学者によって審査されています。
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公開日:2007/05/07
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