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目撃者の証言:雨の変化が農業を変える
オセアニア(オーストラリア):スタン・ペインターさん
スタン・ペインターさんはオーストラリアで30年以上、農業と牧畜を営んできました。しかし最近、雨や気温の変化によって、農作物が大きな打撃を受け、生産性が低下しているといいます。これまでの農法を捨て、乾燥に適した新しい農法に取り組まねばならなくなったペインターさんは、農業の未来に大きな不安を抱いています。
オーストラリア東部からの証言
私の名前はスタン・ペインターです。1970年代半ばにヴィクトリア州のマリー地区から家族と一緒に、クイーンズランド州のカラジョンに移ってきました。カラジョンは、グンディウィンディ地方の北にある、ウィアーリバーの近くに位置しています。妻のジュリーと私はここで混粒穀物と牛肉を扱う会社を経営し、両親はこれまでのたくわえで半ば隠居生活を送っています。
気温も変化している
私たちがカラジョンに住むようになってから、雨の降り方が変わりました。1990年代までは雨は定期的に降っていたのに、それ以降は不規則になったのです。
降水量は以前と変わりませんが、1回の降水量が増えて、雨の降る間隔が長くなりました。
1970年代と1980年代には、川の水の量はそれほど多いようには見えなかったのですが、1990年代の終わり頃から、こうして雨が激しく降るようになると、川の流れが2倍になったかのように見えることがあります。
一方、干ばつも起きています。この干ばつは、1990年代前半から現在に至るまで、およそ10年から12年にわたって続いてきました。
私たちは食料を確保するのにいつも苦労していますし、農業の生産性も低下し、それが悪循環になっています。
変化した降雨パターン
霜の降りる時期も遅くなりました。この辺りの土地は川に近く平野であるため、本来はもっと寒いはずですが、以前ほど寒さが深刻なではなくなりました。
かつて、ある年の冬、私はパッションフルーツのつるを妻のため持ち帰ったことがありましたが、それが家の中で凍ってしまいました。
また、私たちがこの土地に来た頃、霜で雨水をためるタンクやパイプが凍ってしまい、壊れた古い真ちゅうの蛇口をバケツいっぱいに抱えたおじいさんを見ることがありました。しかし、ここ15年間、私はパイプが凍ったのを見ていません。
冬が暖かくなる一方、夏はますます暑くなっていると感じています。これは私が歳をとったせいかもしれませんが、それでもやはり、夏はより暑く、より長くなっているように思うのです。
求められる乾燥への適応
雨の降り方の変化は、私たちの農業の方法に大きな影響を与えました。
現在、私たちは飼育する牛の数を増やしています。周辺の多くの農家でも、農作物の収穫を目的とした農業をやめて、家畜用の飼料を栽培し、家畜の数を増やしています。
また私たちは無耕農法(雑草を抜かずに置くことで土の保水力を保つ方法)を始めました。 私たちは、作物を育てるために十分な水を得ていますが、乾燥が続くため、その水をより長い期間、確保しておかなくてはならなくなったからです。これは読めなくなった雨の降り方や、長引く乾期の中で、何とか農業を続けていく唯一の方法です。
1990年代以前、雨が定期的に降っていた頃は、昔ながらの農法で十分に作物を作ることができました。しかし、雨の降り方が変わってしまったことで、この辺りの伝統的な農法は「時代遅れ」になってしまいました。
このことは、私たちに、気候の変化に適応した農業を行なうことを強いています。そして今では、私たちは穀物を無耕農法で育て、牛の放牧を行なうようになりました。
私たちは無耕農法の器具を購入しました。一緒に仕事をしてくれる農学者もいます。また、地域の隣人たちと話しをして情報を集め、第一次産業省の野外活動に参加し、農業誌を読んだりもしています。いずれも、雨の降り方がもたらした、重要な暮らしの変化なのです。
農業の未来
私は農業が好きだからこそ、この仕事をしていますし、農業のあらゆる工程に携わることを楽しんでいます。
土と密接な関わりを持ち、こういった浮き沈みを経験することは、直感的に農業をやってゆく力を得ることにもつながります。逆に、綿密な計画を立てることによって、果たしてどれくらいうまくいくのか、疑問にも思います。
私は時々、冷静さを失ってしまうことがあります。私の子どもたちが、この土地に戻ってくるように思えないからです。私たちは4人の子供たちを育てましたが、末の子も大学卒業まであとわずかです。
私たちは、よい人生を送ってきましたが、それはとても大変なことでした。
しかし友人や近隣に住む人たちの中には、農業以外の方法でも収入を得て、より豊かに暮らしている人がいます。ですから私は、農業以外にも収入のある仕事を持つ人に、農業ができるようにした上で、土地を離れたいと思っています。
そしてその土地に、私は子どもたちが入ってくれることを望んでいます。農業は若い人たちにとっても魅力的なものであり、素晴らしい機会でもあります。それを実現するための唯一の方法は、農業以外にも収入源を持つこと、それしかないと思います。
WWFインターナショナル/ホームページ掲載日:2007年4月26日
Climate Witness:Stan Paynter, Australia
科学的根拠
ペインターさんの話は2007年から2008年夏までのクイーンズランドの南東部の現象とおおよそ一致しています。しかし2008年のこの地域の夏はとても雨が多く降りました。この状況は、おそらく地球温暖化が原因で長期にわたり続いた乾燥の傾向が、主にエルニーニョ(南方振動現象)による自然変動によって中断したものと考えられます。乾燥するエルニーニョの時期と湿潤なラニ-ニャの時期とが交互に入れ替わるのです。2007年から2008年は今のところ、ペインターさんの地域では湿潤なラニ-ニャの影響が出ていると考えられます。平常よりも総じて暖かい状況であるため、水の蒸発の促進によって乾期が一層乾燥し、それが干ばつを悪化させているのです(Pittock, A.B., 2007)。
【参考文献】
Pittock, A.B., 2007: The Enhanced Greenhouse Effect: Threats to Australia’s Water Resources, Part 1: Scenarios for the Future, Water (Journal of the Australian Water Association), June 2007, pp.48-54. Australian Bureau of Meteorology-latest climate analysis on the current trends:
www.bom.gov.au/climate/current/season/qld/summary.shtml.
全ての記事は「温暖化の目撃者・科学的根拠諮問委員会」の科学者によって審査されています。
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公開日:2007/04/26
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