国連の温暖化防止会議で注目される「非国家アクター」
2017/05/16
温暖化・エネルギー担当の山岸です。
5月8日~18日の日程で開催されている国連気候変動会議(APA1-3・SB46)のために、ドイツ・ボンに来ています。
この時期のドイツでは、ホワイトアスパラガスが有名なのですが、そういう季節感を感じることもなく、いつもの国連会議場に、もはやWWFチームの定宿となっているいつものホテルから通い続ける日々が続いています。
会議場では、2015年12月に合意された「パリ協定」に加えて、世界を脱炭素化に向けていくための更なるルール作りが進められています。
その議論の中で、印象的なのは「非国家アクター」の役割が非常に頻繁に強調されるようになってきたことです。
「非国家アクター」とは、政府以外の組織、たとえば、企業や、自治体、そして私たちWWFのようなNGOなどの主体を言います。
企業・自治体・NGOが大事だ、などというのは、別に真新しい発言ではないように聞こえるかもしれません。
しかし、今の国連気候変動交渉の場に特徴的なのは、国々がより積極的に「非国家アクター」の役割を、国連が作る仕組みの中にも取り込んでいこう、という流れがあることです。
たとえば、パリ協定には、5年ごとに「各国および世界全体での温暖化防止の取組みが充分かを見直しましょう」という仕組みがあります。
この見直しの中で、いかにして非国家アクターからの提案や取組みを吸収していくのかが、真剣に議論されています。
パリ協定という歴史的な合意が成立したことの背景には、国々だけでなく、非国家アクターの後押しがあったから、という認識があるため考えられます。
まだまだ初期段階ではありますが、重要な変化を感じつつ、残りの交渉もフォローしていきたいと思います。