【動画あり】今日10月23日は「世界ユキヒョウの日」
2020/10/23
アジアの山岳地帯に生息するユキヒョウ。
しなやかな長い尾と、見事な斑紋を散らした白銀の毛皮を持ち、氷雪厳しい高地の生態系に君臨する、ファンの多い野生動物です。
毎年、10月23日は、そんなユキヒョウの保護を訴える国際的な記念日です。
絶滅の恐れのある野生動物ユキヒョウ
ユキヒョウ(Panthera uncia)はIUCN(国際自然保護連合)の『レッドリスト』で、「VU(危急種)」に指定されている、絶滅の恐れの高い種。
分布域はヒマラヤ山脈から中央アジアのアルタイ山脈までと、実に広大ですが、生息密度は極めてひくく、推定個体数も2,710~3,386頭(成獣のみ)で、決して多くありません。
危機の大きな原因は、高地にまで開発の波が押し寄せ、生息環境が放牧地などに転換されてしまっていること。
それに伴って、ユキヒョウが家畜を襲うことが増え、害獣としての駆除されることなどです。
さらに近年、何よりも大きな脅威として懸念されているのが、地球温暖化による高山や高地の環境の変化。
地域的にも限られたこうした自然に、高度に適応したユキヒョウは、この環境が失われたら、どこにも移動することができません。
生息環境の減少、変化は、そのまま、ユキヒョウの絶滅を意味するのです。
ユキヒョウの保全を考える1日に!
ユキヒョウの推定個体数は、現在は最大で約3,300頭とされていますが、この数字、数年前までは最大で6,000~7,000頭とされていました。
「そんなに急に減ってしまったの!?」と、思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
この数字の変化は、主に調査の手法や範囲が向上し、より詳しい情報が手に入るようになったためなのです。
ユキヒョウは18世紀からその存在が知られていたものの、1970年代までは撮影された写真も無く、長く「幻の動物」とされてきました。
ですが現代では、自動撮影が可能なデジタルカメラや、GPS発信器などをはじめとする調査器具も進歩し、精度の高い調査ができるようになっています。
それでも、ユキヒョウのすみかは、最高で5,800mにもなる、その多くが厳しくも険しい場所。調査を行なうことは容易ではありません。
専門家の数が足りないフィールドでは、調査員が1人でテント暮らしをしながら、雪山を100km以上歩いて、現場に向かうこともあります。
ユキヒョウは今も減少が続いており、深刻な絶滅の危機が心配されていますが、一方で近年、生息が再確認された場所もあるなど、保全活動は今も一進一退で続いています。
10月23日「世界ユキヒョウの日」は、日本からも海外の厳しいフィールドでの保全活動を応援しつつ、地球温暖化防止のような身近にできる、しかし大切な取り組みについて、ぜひ考え、実践していきましょう。
【動画】消えゆくユキヒョウを守ってください!
【動画】カメラトラップが捉えたユキヒョウの姿(WWF)
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