「地球の旅人」渡り鳥たちの子育て(動画あり)


自然保護室の安村です。
今の時期、海辺に行くと、波打ち際を走り回るクチバシや脚の長い鳥の姿を見かけます。

はるかシベリアやアラスカから渡ってきたシギやチドリなどの渡り鳥です。

今、日本で見られるのは、春に北の地で繁殖を終えた親鳥。そしてそこで生まれたばかりの1年目の若鳥たちです。

先日、この鳥たちの子育ての様子を撮影した、すばらしくも貴重な映像に巡り合いました。

動画を撮影したコーネル大学のゲリッド・ビーンさん

美しい求愛の鳴き声や、12時間交代で卵を抱く親鳥、そして大地に溶け込むヒナたちの巧みなカモフラージュ。舞台であるツンドラの雄大な自然にも圧倒されます。

映像を撮影、制作したのは、アメリカはコーネル大学の鳥類学研究所。

ぜひ字幕を付けて日本でも広く紹介したいと思い、連絡してみると、すぐに快諾いただくことができました。

ところが、字幕のテキストを書き起こしに取り掛かったところで、コーネル大学から思わぬメールが届きました。

最も数が少ないシギの一種、ヘラシギの親子

「せっかくだから字幕でなく、ぜひ君の声で吹き替えを頼むよ。その方が私たちも楽しめるから、よろしくね」

是非も無く、真夜中の出張先のホテルで3時間をかけ、スマホに自分の声を録音。恥を忍んで送ったところ、動画に組み合わせて公開してくれました。

動画には、東アジア最大のシギ・チドリ類の中継地であり、最も危機に瀕している、そして私たちがその保全に取り組む黄海の湿地も登場します。

この中に3羽のヒナがいます。わかりますか?

素人ナレーションで、大変申し訳ないのですが、それを差し引いても余りある、素晴らしい映像です。

小さな地球の旅人たちを大切に思い、それを守るため国境を越えて力を尽くそうとする人たちの気持ちと意気込みも、きっと伝わってくると思いますので、ぜひご覧になってみてください。

多くの渡り鳥が集う黄海の干潟

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

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