日本の「化石賞」の受賞は何を語るか
2011/12/09
南アフリカのダーバンで開かれているCOP17の会場より、温暖化担当の山岸です。
地球温暖化問題に取り組む世界の500以上の団体のネットワーク、CAN(気候行動ネットワーク)インターナショナルは、2000年から、こうした国連会議でのその日その日の交渉において、後ろ向きな発言や行動をした国に「化石賞」を与え始めました。
以来、日本はこの不名誉や賞の常連として知られるようになりました。とくにCOPでは、化石賞を受賞しなかったことはありません。
しかし、ここダーバンで開催されているCOP17では、2週目に入っても、授賞式で日本の名が呼ばれることはありませんでした。こんな会議は初めてです。
しかしそれは、日本の交渉姿勢が理解され、受け入れられたからではありません。
むしろ、京都議定書の第2約束期間に反対し続け、「すべての締約国が参加する包括的な枠組みが必要」と主張しながら具体策を示さない日本に、世界が注目も期待もしなくなったことの現れといえます。
ところが、とうとう8日、日本、カナダ、ロシアの3か国が2位を受賞しました。7日にはカナダと日本の、8日はロシアの環境大臣がそろって京都議定書の第2約束期間に反対する演説をしたからです。
この3か国が第2約束期間に反対していることは知られていましたが、今回は温暖化による深刻な影響を受けているアフリカでのCOP。アフリカ諸国は特に京都議定書の第2約束期間の締結を求めているので、少しは態度を変えるかもしれない―― そうしたわずかな希望は、またも裏切られました。化石賞の受賞は、そんな3国に対し、交渉姿勢を変えてほしい、という最後のメッセージです。
COP17も最後の1日を残すだけとなりました。会議室の扉の向こうでは、各国が自国の利害を守ろうと、熱い議論を交わしていることでしょう。
地球全体の環境を守らずして、各国がそれぞれの利益を守ることなど決して出来ないこと、そして、「温暖化を防ぎ、未来を守る」というこの会議本来の意義に立ち返り、「化石賞」の国々が、合意に貢献してくれることを望んでいます。