自然環境とWWF
長い時間の中で育まれてきた多様な地球の自然環境は、人間を含めたあらゆる生命の基盤です。世界で進む環境の破壊をくい止め、未来に生物の多様性を引き継いでゆくために、WWFは、陸域、淡水、海洋などのさまざまな自然の中から、代表的かつ重要な環境を選び、優先的に保全する取り組みを目指しています。
2分でわかる!世界の自然を守るWWFの活動
多様な自然を守るために
自然環境を保全しようと思った時、忘れてはいけない、大切なことが一つあります。
それは、国境のような人間が引いた線とは関係なく、あらゆる自然が存在している、ということです。
つまり、森林や海などの自然を保全しようとするならば、基本的に、その地域の自然環境の広がりや、生きものたちのつながりを、一つのまとまりとして考え、守ってゆかねばならない、ということです。時には、いくつもの国の国境を越えて、その保全に取り組まねばならないケースも、数多くあります。
たとえば、東アフリカのサバンナや、コーカサス・アナトリアの温帯林といった自然は、それぞれ複数の国にまたがって広がっています。また、北海のように、たくさんの国の沿海であり、同時に豊かな漁場として欠かせない海域や、アマゾン川流域のように、単に水面だけでなく、川の周辺環境をも合わせ含めた、広大な自然が広がる場所もあります。
これらの自然環境を保全したり、あるいは、そこに産する資源を持続的に利用していくため には、多国間が協力しながら、広い視野で保全に取り組まねばなりません。
どれも、一つの国だけにとどまらない、地球規模の問題。野生生物だけでも、私たち人間だけでもない、あらゆる生命の存続にかかわる問題だからです。
地球の貴重な自然環境を保全してゆくためには、国境を越えて、地球環境を広く保全してゆく必要があります。
世界の自然を守ろう
現在、保全が求められている森や海の環境の多くは、貴重な野生動植物が息づいている同時に、深刻な破壊の危機にさらされている場所でもあります。
また、淡水生態系も世界の各地で劣化や消失が進んでいます。上流から下流まで、いくつもの国を通って流れる大河川では、いずれもその「流域」環境を広く捉えた視点での保全活動が必要とされますが、それがなかなか実現せず、水産資源や、水資源にも枯渇の心配が及んでいます。
海洋についても同様です、過剰な海洋資源の利用や、海の環境を改変した開発の促進は、海の環境破壊を引き起こす原因になります。
全世界、全ての大陸と大洋に広がる自然の全てについて、保全活動を行うことは、非常に大変なことです。実際、現在、WWFが保全にかかわっている自然とて、全体から見れば、ほんの一部に過ぎません。しかし、WWFではその保全を、地球全体の未来に向けた「挑戦」だと考え、今もそのための活動を展開しています。
WWFの活動
食料、薬、建築材料、そして燃料。人類が地球上にその姿を現した最初時から、私たちが今生きる現代に至るまで、森林は限りなく大きな恩恵をもたらしてくれました。しかし今、私たちはこの森林がどれだけ大切なものであるかを忘れたかのように、世界の各地で破壊を繰り返しています。森林を保全しながら、森の恵みを持続可能な形で利用できる社会を実現すること、それが、WWFが目指す森林保全の目標です。
海や、世界各地の沿岸域では、汚染や資源の乱獲による環境の悪化が報告されています。WWFジャパンは、日本沿岸のサンゴ礁や干潟の保全をはじめ、漁業資源の持続的な利用を目指した社会的な仕組みの普及に取り組んでいます。
「流域」とは、一本の川の水を取り巻く周囲の広いエリア、山林や草地といったあらゆる景観を、一つのまとまりを持った環境として捉える考え方です。近年、世界の各地では、「流域保全」の取り組みが進められ始めています。流域の保全を実現することにより、一種一種の動植物の保護から、水資源の維持、流域の生態系の保全、さらに防災までを含む、幅広い環境保全が可能となります。
「生物多様性(Biological Diversity)」とは、簡単に言うと、地球上の生物が、バラエティに富んでいること。つまり、複雑で多様な生態系そのものを示す言葉です。しかし今、自然環境の悪化に伴い、この生物の多様性が、これまでにない早さで刻一刻と失われつつあります。これは、私たち自身が、人類を含めた多くの生命にとって欠かすことの出来ない命の土台である生物多様性を自ら壊していることに他なりません。WWFは、生物多様性の保全を目指した自然保護プロジェクトを、世界各地で展開しています。