沖縄・辺野古の豊かな海を未来へ!埋め立て申請の却下を県に要請
2013/07/25
絶滅が心配される海の哺乳類ジュゴンの、国内で最も重要な生息海域であり、隣接する大浦湾にも豊かなサンゴ礁が広がる、沖縄県名護市・辺野古の海。今、ここで計画されている米軍基地の移設建設が、手続き上の大詰めを迎えています。2013年6月に防衛局が海の埋め立て申請を行なったことを受け、WWFジャパンもこの申請に対する意見を沖縄県に提出。辺野古周辺にのこる貴重な自然環境が、大きく損なわれる危険性をあらためて指摘し、県知事に埋め立て申請を認可しないよう求めました。
豊かな辺野古の海に迫る危機
高さ12m、幅30m、長さ60mにわたって広がるアオサンゴの大群落。近年発見された、多数の新種のエビ、カニ類などの野生生物。そして、国際的にも絶滅が懸念されている、海の哺乳類ジュゴンが生きる、沖縄島最大の藻場の海。
沖縄県名護市の辺野古(へのこ)と、それに隣接する大浦湾の海が、今もとどめる野生の姿は、世界に誇ることのできる豊かさと多様性に満ちています。
沖縄県でも、この辺野古海域を「自然環境の厳正な保護を図る区域」に指定。その自然の重要性と保全の必要性を認めてきました。
しかし、この辺野古の海は、久しく普天間米軍飛行場の移設候補地とされ、そのための海の埋め立てと、基地設備の建設が目下進められようとしています。
手続きも大詰めを迎え、すでに環境アセスメント(環境影響評価)の手続きが終了。2013年6月には、防衛省沖縄防衛局が沖縄県に対し、海の埋め立てを求める申請を提出しました。
沖縄県内では、この埋め立てによる不利益や損失の可能性について、広く一般から意見を募る期間が設けられ、7月18日までの日程でその募集が行なわれました。今回の意見募集は、公式な意見募集の機会としては最後の機会となります。
沖縄県は埋め立て申請の却下を
この意見募集には、一般の県民の方々と共に、長く辺野古の海の保全やジュゴン保護を訴えてきた、日本自然保護協会や、沖縄・生物多様性市民ネットワークが意見を提出。WWFジャパンも、独自に意見書をまとめ、提出を行ないました。
WWFが指摘した主な点は、辺野古・大浦湾が、南西諸島に残された希少な沿岸生態系を有し、科学的に見ても優先的に保全すべきエリアの一つであること。その環境に甚大な影響を及ぼす計画は、生物多様性を保全する立場からは、決して容認できないことです。
また、これまで行なわれてきた調査・影響評価手続きについても、その科学的根拠や、保全のための措置が著しく欠けている点も、あらためて指摘。それに対する抗議を行なうとともに、沖縄県知事に対して、今回の防衛局による申請を却下するよう求めました。
辺野古の海をはじめ、琉球列島(南西諸島)の島々にみられる自然は、かつて亜熱帯林やマングローブ林、サンゴ礁や干潟など多種多様な景観で彩られていました。そして、この島々にしか生息していない数多くの固有種を育んできました。
しかし、その沖縄の自然は今、各地で深刻な危機にさらされています。
WWFジャパンでは、生物多様性保全の観点から、辺野古周辺海域の米軍基地移設による埋め立て計画の中止を含む見直しを求めるとともに、辺野古・大浦湾海域については、沖縄島北部の「やんばる」の亜熱帯林ともあわせて、世界自然遺産への登録等も視野に入れた、生物多様性の保全推進を働きかけていきます。