強力な温室効果ガス(HFC365mfc)の拡大に歯止めを
2012/10/02
近年、クリーニング業界で、強力な温室効果ガスHFC365mfc(商品名:ソルカンドライ)の利用が拡大しています。WWFジャパンは、気候ネットワークら4団体と合同でこの動きに対し、強い懸念を示す声明を発表しました。地球温暖化対策は、主な原因であるCO2(二酸化炭素)の排出量削減だけでなく、HFC等の他の温室効果ガス排出量削減も大事な対策です。現在、クリーニング業界で進むHFC365mfcを使用した溶剤の利用拡大は、この対策の必要性に逆行するものです。
グローバルな温暖化対策に逆行するクリーニング業界
年々深刻化している地球温暖化の問題。北極海の海氷の融解は、科学者の予測を上回る勢いで進行しており、早急な気候変動対策が求められています。
温暖化の深刻な影響を抑えるためには、世界の気温の上昇を、産業革命前に比べて「2度未満」の上昇に押さえることが必要です。そのため、先進国では1990年比で、2020年に温室効果ガスの排出を25~40%削減するなど、大幅な削減の取り組みが急務として求められています。
この削減強化の対象には、石油や石炭の燃焼によって生じる二酸化炭素(CO2)削減だけでなく、HFCなどフロン類の削減なども含まれます。
しかし、こうした動きに反するように、日本のクリーニング業界では、新たに強力な温室効果ガス「HFC365mfc(商品名:ソルカンドライ)」の利用拡大が、この数年で加速化していることがわかりました。
さらに、フロンメーカー、洗浄機メーカー、クリーニング事業者による広告などでは、HFC365mfcでの洗浄を「環境にやさしい」「エコ溶剤」などと表記する一方、消費者に対しては、温室効果ガスであることを一切説明していません。
これに対し、WWFジャパンは2012年9月28日、気候ネットワーク、主婦連合会、ストップ・フロン全国連絡会、日本環境法律家連盟と共に、HFC365mfcの利用拡大に歯止めをかけることを求める共同声明を発表。
政府に対し今後、こうした新規のフロン類(Fガス)利用の拡大を止め、用途規制の実施を求めるとともに、関係業界に対しても、フッ素系物質の使用を取りやめるよう要望しました。
共同声明