国内クロマグロ(太平洋)の資源管理措置はじまる
2011/04/01
2011年4月1日、日本の農林水産省が発表した、太平洋クロマグロの管理強化をめざす新たな措置がスタートしました。これにより、かねてより漁獲の増加が懸念されていた日本沿岸を含めた太平洋で漁獲されているクロマグロ(本まぐろ)の資源管理が、より一層進むことが期待されます。
厳しい生産状況の中での大きな一歩
未成魚を中心に過剰な漁獲が指摘されてきた太平洋クロマグロについて、農林水産省は新たに資源管理指針を策定しました。
この新たな資源管理の取組は、2010年12月に中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)で採択された保存管理措置に基づき、日本海での巻き網漁業の総漁獲量の制限や、近年発展著しい国内クロマグロ蓄養、および養殖業の管理にまで踏み込んだ内容となっています。
さらに、届出のいらない自由漁業だった一本釣りや引き縄漁業を含む沿岸漁業についても、太平洋クロマグロを漁獲対象とするものについては、届出制に移行し、漁獲実績の報告を義務付けることになりました。
これによって、国内太平洋クロマグロ漁業の包括的な管理措置の導入が実現することになります。
いずれの漁業においても、近年国内における生産状況は決して良好ではありません。
こうした状況にもかかわらず、管理を強化する措置の導入に生産者が合意したことは、持続可能な太平洋クロマグロ資源の利用に向けた、大きな一歩と言えます。
日本だけではなく世界の合意を!
太平洋クロマグロ全漁獲の約70%は日本で生産されています。その世界最大の消費国が、各国に先駆けて実効性のあるマグロ資源の管理措置を導入した意味は大きいと、WWFは評価しています。
また、WCPFCにおいて一部管理措置の適用除外を受けている韓国や、東太平洋でクロマグロを漁獲しているメキシコに対しても、一刻も早く科学的根拠に基づき、予防原則に従った管理措置導入に合意することを、WWFでは求めていきます。
なお、この資源管理措置の中で、2012年以降にその導入が検討されている太平洋海域については、今回の大震災により被害を受けた太平洋沿岸がその範囲に含まれています。今後の漁業復興の取り組みの中にも、こうした管理措置が組み込まれることが期待されます。
農林水産省のサイト:記者発表資料